ダイビングの練習方法は?上達するためにすべきノウハウを紹介

更新日:2023.12.07.Thu   投稿日:2023.10.31.Tue

スキューバダイビングのレベルを図るのに、何を基準にしますか?
ひとつは潜っている本数です。初めて会った方と「何本くらい潜っているのですか?」と質問をし合うことはよくあります。しかし、本数だけではなく、その中身も重要です。

ダイバーには、初心者ダイバーから中級者ダイバー、上級者ダイバーまでさまざまなダイバーがいます。特に、初心者ダイバーからは早く卒業して、ダイビングをより楽しめるようになりたいと思っている方は多いのではないでしょうか。

しかし、初心者ダイバーと中級者ダイバーの違いが不明確で自分が初心者なのか中級者なのかわからない方もいるでしょう。どのようなことができれば中級者・上級者なのでしょうか。また、どのように上達すればよいのか悩んでいる方も多いでしょう。

ここではまず初心者、中級者、上級者ダイバーの違いを明確にした上で、初心者ダイバーが上達するポイントを紹介します。

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初心者ダイバーの特徴

ダイビング器材のセッティング

まずは、誰もが通る「初心者ダイバー」の特徴をご紹介します。初心者ダイバーとは、オープン・ウォーター・ダイバーのライセンス取得講習時の水中スキルがやっとできる、もしくは忘れてしまっていても聞けばできるレベルでしょう。

経験本数としては、5本~30本程度。器材のセッティングも、周りのダイバーを見ながらなんとかセッティングが完了するくらいでしょうか。また、ご自身の必要ウエイトを答えられない…と言うのも、初心者ダイバーの特徴だと言われます。

水中では、耳抜き・潜降・中性浮力が苦手、ダイビング後半に浮いてしまうなど、まだまだ水中環境に慣れていない状態の方が多いです。

器材の装着ができない

器材セッティングは手順と項目が多くて、慣れるまでは周りをキョロキョロしてしまいます。BCDとシリンダーを逆向きに付けたり、レギュレーターの左右を間違えてメインのセカンドステージが左から出てしまったり、バックルの閉め忘れやシリンダーバルブの開け忘れに、インフレーターと中圧ホースが接続されていなかったり、ドライスーツにホースをつないでいなかったり…あげればきりがありません。

このような「理解不足・練習不足」寄りの「うっかり」が発生するなど、基本的なスキルを忘れてしまうことが多いのも初心者の特徴です。

なかなか潜降ができない

スーツが乾いていたり、呼吸の使い方に慣れていなかったりすると潜降に苦労しますよね。特に、ロープの無い場所での潜降では、なかなか沈むことができずに苦戦しているダイバーをよく見かけます。

ビーチダイブなどで早く潜降する必要がない時もありますが、やはりチームとして潜っている以上は、周りにペースを合わせたいところ。また、表層の流れがある時は、早めにある程度の深さまで潜降することが重要です。潜降し始めてしまえば問題なくても、最初の段階でもたついてしまうのも初心者ダイバーの特徴です。

中性浮力ができない

基本的な中性浮力やホバリングは、オープン・ウォーター・ダイバーのライセンス取得時に習う項目のひとつです。しかし、一昼夜で身に着くものではありません。

海底で着底して生物を見た後に泳ぎ始める際、フィンが砂を巻き上げていることに気が付かず、後ろのチームメイトの視界を奪ってしまったことはありませんか?視界不良になると行方不明の危険性もありますし、砂地の生物やその住処を傷つけてしまうこともあります。

さらに、巻き上がった砂が岩やサンゴに付着することで生態系へ悪影響を与えることも。何より、そもそも砂を巻き上げていることに気が付いていないと言うのも初心者ダイバーの特徴です。

中級ダイバーの特徴

サンゴの上でホバリングするダイバー

中級ダイバーは初心者ダイバーとは異なり、基本的な技術を身に着けており、多くの環境で楽しんでいます。経験本数は30本を超えて50本や100本を迎え、ある程度の本数を潜ってきて最低限の自分のことは自分でできるようになると「中級ダイバー」の域になります。

器材のセッティングはもちろん、自分のウエイトの調整(水深やスーツ、シリンダーなどで判断)、スムーズな潜降、深場から浅瀬までの中性浮力が問題なく“できる”レベルが中級と言えるでしょう。

また、バディのアシストやチームメイトのストレスまでもケアして、より安全で思いやりのあるダイビングができるようになります。

基本技術(浮力コントロール・ホバリングなど)を活用することができる

中級ダイバーは、
・潜降ロープがない場所でもスムーズな潜降ができる
・中層の壁のウミウシを眺める際に浮きも沈みもしない
・深場から折り返して浅瀬に戻ってきても浮き上がりそうにならない
・水底のサンゴや海底に着底してしまうのではなく、水底間際やガイドと同じ深度で止まることができる

など、基本的な中性浮力とホバリングの技術が身についています。

ダイビングスポットや海況の変化、スーツや深度の変化にも柔軟に対応でき、その場その場で適切な判断ができるようになるのも中級ダイバーの特徴です。

また、ガイドについて行くだけのダイビングから、自らコンパスを見たり、聞かれなくても定期的な残圧チェックが身についてきたりします。

さまざまな環境(ナイトダイビング・ドリフトダイビング)で潜ることができる

ダイビングスキルを磨いていくと、様々なダイビングポイントで潜ることが可能になります。ナイトダイビングやドリフトダイビング、ケーブダイビングなど、スキルを学ぶためにSP講習(オープン・ウォーター・ライセンスとは別のスペシャルティコースのこと)の受講が必要なものもありますが、ダイビングの幅が広がること間違いなしです。

また、国や島、ダイビングエリアによっては、所持ライセンスや本数などの条件がツアー参加時に決められている場合も少なくありません。初心者ダイバーの時は見ることができなかった景色や生物に出会える機会も増えるでしょう。

基礎スキル(ボートダイビング・ディープダイビングなど)が身についている

ある程度の経験を積んでいないと、事故やトラブルのリスクが高まるドリフトダイビングなどは、初心者ダイバーでは少し難しいでしょう。潮の流れに乗って楽しむドリフトダイビングは、流れのある外洋のポイントで行うことが多く、マグロやアジ、バラクーダやハンマーヘッドシャークなどの大物や魚群を楽しむことができます。

刺激的な海を楽しむことができるので人気ですが、適切なシグナルフロートの扱いやダイブコンピューターの所持と管理、緊急時に音が出る物を所持しておくなど、トラブルを想定した準備とスキルが必要です。

このように、ダイビング中に起こる事故やトラブルを事前に想定し、未然に防ぐことができるのも中級者ダイバーの特徴です。

上級ダイバーの特徴

沈船で潜るダイバー

上級ダイバーは自立だけでなく、中級以下のダイバーをサポートできるスキルが求められること、ダイビング器材やカメラ機材の故障のトラブルなどにも柔軟に対応できることが特徴です。経験本数は100本以上のダイバーがほとんどで、セルフダイビングなども含めて毎週潜っている方は300本〜1000本という方もいるでしょう。

ただ、スキューバダイビングは多様な環境でストレスなく潜れることが重要です。ビーチ、ボート、国内、海外など様々な場所での経験があることも上級ダイバーのスキルの一つでしょう。

ダイビングスキルが洗練される

中級者の段階で「できる」は、クリアしています。その上で、上級者になるとより磨きがかかったスキルが必要となりますが、スキルを磨くことによって余裕をもってスキルを使いこなすことができるでしょう。

また、自分自身が問題なくダイビングを遂行できるだけではなく、周りに気を配りトラブルを未然に防いだり、トラブルにつながりそうなことを瞬時に察知したりして、チーム全体やバディをコントロールすることができるようになってきます。

自らナビゲーションを行うことができる

ガイドについて行くだけのダイビングではなく、セルフダイビングで自らナビゲーションをして安全に帰ってくることができるのも上級者の特徴のひとつです。事前にしっかりと潜水計画を立てて、水中マップを確認しながら行きたい場所へ行くことができるようになるでしょう。

また、水中では安全管理を徹底して、無理のないダイビングができることが重要です。自分のダイビングとバディに責任を持つことが、上級者ダイバーとしての考え方と言えます。

器材のトラブルやメンテナンスに対応できる

想定できるトラブルにはどんなものがあるでしょうか。ボートで酔ってしまうかもしれない、誰かが怪我をするかもしれない、器材のストラップが切れてしまうかもしれない、レギュレーターがフリーフローしてしまうかもしれない…等々。挙げればきりがありませんが、自分の身にもバディやチームメイトの身にも、起こりやすいトラブルを考えてそれに対処できる準備をしておくことが大切です。

上級者ダイバーならば、スキルの上達だけではなくチームメイトの安全、海に対して敬意を払うなど、見本となるダイバーとしての振る舞いが重要です。

初心者ダイバーのままだとどうなるの?

初心者ダイバーのままだとどうなるのでしょうか。もちろん、上達しなければ“絶対にダメ”ではありません。しかし、100本、500本、1000本とスキューバダイビングを楽しんでいるダイバーは皆、ビギナーだったころを振り返って「上達すれば、より楽しくなる」と思っているでしょう。

それはやはり、視野が広がることで見えてくる景色があり、心に余裕のあるダイビングを行えることでトラブルのリスクを減らすことができるからではないでしょうか。

ダイビングの楽しさがわからない

ダイビングに限ったことではありませんが、どのようなことでも上達すればするほど楽しくなりますよね。スキューバダイビングに始めて挑戦した時の感動と不安、身体が思うように動かない不自由さ…これらを経て、潜るたびにしっかりと考えて挑むことで、スキルの向上と視野の広さが身に付きます。

ダイビングが続かない多くの人は、初心者ダイバーのうちにやめてしまっています。それは、「ビギナーを脱した時に見えてくる世界」を見る前に、ダイビングから遠ざかってしまったから。ビギナーから成長することで、見られる生物や行けるポイント、目に入る光景が変わり、どんどんダイビングを好きになって行くものだと思います。

周りの人に迷惑がかかる

ダイビングは通常、2人以上のバディやチームで潜ります。いつも決まったメンバーでダイビングをするのならまだしも、ダイビングショップにファンダイビングを申し込むと「初めまして」の方々と潜ることも少なくありません。その場合、スキルレベルもダイビングの目的もバラバラになる可能性がありますし、チームの人数もまちまちであることは十分考えられます。

人数が多くなればなるほど、そしてチームのメンバーやインストラクターと一緒に潜った回数が少なければ少ないほど、コミュニケーションは難しくなり、安全のリスクは低くなっていきます。

ダイバー各々がスキルアップをすることで、大人数でのダイビングになっても安全レベルを上げることができますし、パニックになったりトラブルを起こしてダイビングの進行を妨げてしまったりする可能性は下げることができるでしょう。

同じ本数のダイビングを経験していても得意不得意はあります。しかし、全体のレベルをその日のチームの中で一番のビギナーダイバーに合わせるのがセオリーですから、各ダイバーが自身のスキルアップを図ることでチーム全体の安全と楽しさを向上させることができるでしょう。

潜れるポイントが少ない

ダイビングポイントには、経験本数や持っている器材、経験したスペシャルティダイブの種類などが参加条件として設定されているところがたくさんあります。

「ハンマーヘッドシャークの群れが見たい」と思っても、まずはそのレベルに達しないと見に行くことはできません。それはその分、危険を伴う海であることやボートの形状、エントリーやエキジットの方法にテクニックが必要だからです。

また、ツアーに参加した際に、最初の1本目でチェックダイブが行われることもあります。その結果で、初級~上級までにチームが振り分けられて、同じ海でも連れて行ってもらえるポイントや深度・潜水時間などが異なるケースもあります。

ダイビングで上達するには?

ダイビングの上達に必要な【3つのE】をご存じでしょうか。3つのEとは、Equipment(器材や道具)・Education(教育や講習)・Experience(経験や体験)のことです。ダイビングに限ったことではありませんが、何事も一朝一夕で上手くいくものではありません。自分に合った適切な道具を使って、良い指導者から良い教育を受け、何度も経験を重ねていくことで上達していきます。

累計30本をできる限り間隔を開けずに潜る

まず、オープン・ウォーター・ダイバーのライセンスを取得する際に海へ潜るのは最低でも4本。その後、アドバンスド・オープン・ウォーター・ダイバーのライセンスを取得するのには最低5本。ここまでで、9本のダイビングを経験したことになります。

この時点で、最低限の講習は受講した状態になりますので、その後のファンダイビングでコツコツと経験を積んでいき、30本(1日2本潜る場合は約10日)くらいまでコンスタントに潜れば、やっとリラックスしてダイビングを楽しめるようになってくるでしょう。本数が少ないうちは、せっかく覚えたことも忘れやすいので、30本くらいまではあまり間隔を開けずに潜れると良いですね。

基本スキルを身に着けることを意識する

ダイビングの基本スキルは、マスククリア・フィンキック・中性浮力・ハンドシグナル・耳抜き・緊急手順です。特に、フィンキックと中性浮力はファンダイビングの中で「できる」まで取り組んでみるのがおすすめです。

フィンキックにも、バタ足・あおり足・はさみ足など複数のキックがあり、そのどれもが重要です。また、それぞれ足の使い方や身体の使い方、フィン先や足の指先の使い方にも細かいテクニックがあります。まずは前を泳ぐインストラクターやガイドのフィンキックを見ながら、マネしてみてはいかがでしょうか。

中性浮力やホバリングに関しても、ファンダイビング中に練習が可能です。例えば、魚を見るタイミングでホバリングをしなければいけない時が多々ありますし、海底付近を泳ぐ際に着底をして砂を巻き上げないよう中性浮力を保つ必要があります。呼吸を上手く使用しながら、自分の身体の動きを常に考えてみましょう。

【参考記事】https://marinediving.com/skill/basic_skill/basic.shtml

ダイビングスクールに通う

オープン・ウォーター・ダイバーのライセンスを取得したら、次のステップは、アドバンスド・オープン・ウォーター・ダイバーです。更にその上には、レスキュー・ダイバーやダイブ・マスターなどのライセンスがあります。効率よくスキルアップを求めるなら、ダイビングスクールへ申し込みをして次のレベルのライセンスを目指すのもおすすめです。より素早く効率的に学ぶことができるでしょう。

まとめ

初心者ダイバーから上級ダイバーまで、特徴や脱却方法について説明しました。何百本も潜っていて初心者ダイバーのまま…と言う方はあまりいませんが、始めたばかりでやめてしまうとダイビングの本当の魅力を感じられないまま終わってしまう可能性があります。そのためには一回一回のダイビングでスキルアップを考えながら潜ることで、早めに中級者になることができ、よりダイビングを楽しむことができるでしょう。

まずは30本を目安にして、間隔をあまり開けずに潜ること、基本的なスキルを意識しながら潜ること、ダイビングスクールへ通って繰り返し練習をすることを意識してみてください。その後は、中級者ダイバーとして幅広いスタイルのダイビングに挑戦をして、「感動」と言う言葉では言い表せないほどの素晴らしい光景に出会いに行きましょう。

東京・横浜・名古屋・大阪・福岡の全国主要都市と、沖縄本島・宮古島・石垣島の人気リゾート地にダイビングスクールを展開しているマレアでは、ダイビングライセンスを取得した方が長く続けていけるように手厚いサポートをしています。練習用のプール、多方面へ毎週開催されるツアー、店舗間のスキル照会など、大型店ならではのサービスでたくさんのお客様に選んでいただき、国内で最も加盟店の多いPADIの全国最優秀賞を受賞した経歴も多数あります。

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