スキンダイビングライセンス取得で海の世界を広げよう
更新日:2024.04.15.Mon   投稿日:2024.04.15.Monスキンダイビングの基礎知識には、耳抜きや潜り方の技術、必要な道具や装備、個人の練習方法、ライセンス講習やシュノーケリングとの相違点などが含まれます。
この記事では、スキンダイビングにおける基本的な概要について解説します。
スキンダイビングとは
スキンダイビングとは、酸素ボンベやレギュレーターなどのスキューバダイビング器材を使用せずに、最低限の装備だけで潜水することを言います。一般的には、酸素ボンベ無しで息継ぎをせずに自分の息が続く限り泳ぐ「素潜り」を、本格的なマリンスポーツとして楽しむものです。
スキンダイビングは近年多くのマリンスポーツ愛好家から注目されており、様々な魅力があります。
道具や装備が少ないことや、魚やイルカ・ウミガメなどの動物たちと間近で泳げること、また、ダイビングライセンスの取得や保持を必要としないため、誰でも気軽に楽しめることも魅力の一つとなっています。
スキンダイビングは「シュノーケリング」とは違い「水中に潜ること」が目的です。スキンダイビングの技術を身につけることで、サンゴ礁や生物を水面からだけでなく水中に潜り身近で観察することができるようになり、より楽しみ方が広がるようになるでしょう。
また同じ「素潜り」でも、スキンダイビングよりもさらに深く長く潜り、競技要素が強いものは「フリーダイビング」と呼ばれ、国内だけでなく世界中でも様々な競技大会が開催されています。
スキンダイビングで求められる体力・技術
スキンダイビング=素潜りというイメージから、「泳ぎが得意なら誰でも簡単にできる」と思う方も多いかもしれません。
もちろん自主練習を積むことで独学でもスキルアップは可能です。
しかし、スキンダイビングを快適かつ安全に楽しむためには、いくつかの技術が必要になります。
近年はスキンダイビングで命に関わる事故が増えているため、沖縄県では注意喚起がされています。正しい知識とスキル、そしてルールを学びましょう。
1.耳抜き
スキンダイビングのスキルの中で最も重要な技術が「耳抜き」です。これは耳の中の空気圧を調整する技術で、気圧の変化により鼓膜が破れることや三半規管の異常を防ぐために行います。
エレベーターや飛行機に乗った時に耳に違和感を感じ、耳抜きをしたことがある方もいると思います。
水中に入る前に、まずは陸上で鼻をつまんで鼻に息を送るイメージで練習します。唾を飲むことで耳抜きをする方法もありますので、自分に合った方法を見つけましょう。
耳抜きについての詳細は、以下の記事に記載がありますのでぜひチェックしてみてください。
2.ジャックナイフ(ヘッドファースト潜降)
スキンダイビングでは、スムーズに水の中に潜るために「ジャックナイフ」や「ダックダイブ」というテクニックが用いられます。
水面でナイフを折りたたむように体を折り曲げ、頭を下にした状態で真っ直ぐになり水の中に潜降します。その体勢から「ヘッドファースト潜降」とも呼ばれています。
3.ドルフィンキック
ドルフィンキックとは、ドルフィン(イルカ)のように体をくねらせて泳ぐ方法の一つです。
両足を揃えて腰から上下に動かし、水を叩くようなイメージで水中の推進力をつけます。バタフライのキックで用いられているキック方法です。
フィン(足ひれ)を着用するスキンダイビングでは、一般的なバタ足よりも効率よく水中を泳ぐことができます。
4.息を続かせるコツ
スキンダイビングでは酸素ボンベを使用しないため、呼吸を止めて息の続く限り水中を泳ぎます。
水の中で長く息を続かせるコツは2つあります。
1つ目は、水中で力を抜いてリラックスし、ゆっくり落ち着いて動くこと。焦って泳いだり無理をすると心臓の鼓動が速くなり、酸素の消費も早くなってしまいます。
2つ目は、潜る前に深呼吸をしてたくさんの酸素を肺に取り込むこと。
水中で慌ててしまうと事故の危険も伴いますので、平常心を保つように心がけましょう。
スキンダイビング器材の選び方
スキンダイビングの基本的な道具は、以下の3つです。
- フィン(足ひれ):水中・水面を移動する際に、スムーズに進むために必要です
- マスク(ゴーグル):水中を泳ぐ際に視界を確保し、鼻からの水の侵入を防ぐために必要な道具です
- スノーケル:水面に浮かんでいる際に、顔を水につけたままで呼吸をするための必要な道具です
また、気温・水温などの状況や楽しみ方によって、ウエットスーツやウエイト(重り)が必要になります。
・ウエットスーツ
気温・水温が低い時だけでなく、体温の低下や怪我を防ぐためにも着用が推奨されます。また、スキンダイビングではライフジャケットを使用しないため、水面での浮力を確保するためにも必要となります。
・ウエイト(重り)
ウエットスーツを着ることによる浮力の増加で潜降が困難な場合に、重りのついたベルトを着用します。
スキンダイビングの事故で多いケースとして、水着で泳いでいて浮力が確保できずに水面で溺れてしまうことがあります。安全のためにも、正しい器材の選択方法を学びましょう。
スキンダイビングにおすすめの器材
1.フィン
フィンと足の間に隙間がないよう、ピッタリしたサイズを選びましょう。多くのメーカーでフルフットフィンとストラップフィンの2タイプがあります。
フルフットフィンの方が足との一体感が強く泳ぎやすいですが、足場の悪い岩場から潜る方などはブーツを履いて着用するストラップフィンを選ぶようにしましょう。
・MEW(ミュー)/メーカー:GULL
日本国内で最も人気がある、誰にでも使いやすく推進力に優れた王道のフィン。素足でも着用できるフットポケットを採用していて、スキンダイビングはもちろんスキューバダイビングにも最適です。
・SUPER SOFT MEW(ミュー)/メーカー:GULL
スキンダイビング専用にラバー硬度を柔らかく仕上げ、水中でも軽やかに楽しめるフィンです。特に脚力が弱かったり、体重が軽くてフィンを重く感じてしまう女性におすすめのフィンです。
・CARBON FIN(カーボンフィン)/メーカー:GULL
スキンダイビング・ドルフィンスイムなど様々なニーズに応えられる硬度の違う2種類のカーボンフィンがあります。このようなロングフィンは使えるようになると美しい泳ぎができますが、長いことで他のダイバーや生物を傷つけてしまうリスクもあります。
2.マスク
自分の顔にフィットしたものや、耳抜きがしやすいものを選びましょう。水圧や水の抵抗が少ないフレームレスのものや内容積が小さなマスクを選ぶとより潜りやすくなります。
・ANELIA(アネリア)/メーカー:GULL
スキンダイビング・フリーダイビングのプロフェッショナルが使用することに照準を合わせたシンプルマスク。内容積を極限まで抑えています。
3.スノーケル
海水がスノーケルに入った時に息を吐いて「フッ」とクリアしやすい(水を吹き出しやすい)スノーケルを選びましょう。くわえていてもあごの疲れないものや、口の小さい女性向けのマウスピースが小さいものがあります。
・CANAL FLEX SP/メーカー:GULL
ジャバラのないスタンダードなJ型で、可動式マウスピースのため口元に合わせやすい。スキンダイビングに最適なスノーケルです。
4.ウエットスーツ
ウエットスーツは体温維持のために着用しますので、緩いものよりピッタリしたサイズを選ぶ方が保温力が高まります。
生地の厚みや素材も色々な種類がありますので、普段の衣服と同じように季節や使用場所に合わせたウエットスーツを選びましょう。
・SU1 for RCシリーズ / メーカー:ワールドダイブ/3mm ジャケット+パンツ
スキューバダイビングはもちろん、スキンダイビングやドルフィンスイムなどのマリンレジャーに合わせてコーディネイトできるカジュアルウエットスーツです。
暖かいリゾートの海ではジャケットだけ、パンツだけという選択肢もできます。
これらの道具はダイビングショップなどマリン関連グッズを取り扱う店舗、公式オンラインストアなどでも購入が可能です。
また、スキンダイビングを体験できるツアーでは、体験料金に道具のレンタル代が含まれることが一般的です。
まずはぜひツアーに参加して、スキンダイビングを体験してみましょう。
東京や沖縄でのスキンダイビング体験
初心者におすすめのスキンダイビングスポット
スキンダイビングのメッカと言えるのは「沖縄」や「鹿児島離島(与論島や奄美大島)」ですが、関東(東京)周辺や関西(大阪)周辺でも体験できます。
ただし、全てのアウトドアアクティビティは事故や怪我などの危険も伴います。
体験の際は必ずプロライセンスを持ったインストラクターがガイドし、安全性に細心の注意・準備をしているショップを通して楽しみましょう。
具体的には、
- 水深が3m〜10m程度
- ダイビングサービスなどの施設がある
- ダイビングボートなど監視者がいる
などの対策が取られているツアーを選ぶようにすると安心です。
水面に滞在する時間が長いスキンダイビングでは、特に漂流に対して対策を取ることが重要です。
日本では、沖縄や東京近郊などでスキンダイビングを体験することができます。
沖縄でのスキンダイビング
日本で海と言ったら沖縄のイメージを持つ方も多いですよね。
沖縄の海は透明度が高く、初心者にも優しい海と言われています。
沖縄本島ではもちろん、宮古島や石垣島といった離島でもスキンダイビングを体験することができます。
透明度の良い青い海で、サンゴ礁に囲まれてウミガメや魚と泳ぐ体験は素晴らしいものになるでしょう。
東京近郊のスキンダイビング
東京から船で数時間の伊豆諸島では、野生のイルカと泳ぐスキンダイビングツア
ーを体験することができます。
伊豆諸島の御蔵島では、島周辺に野生のハンドウイルカが生息しています。
イルカは知能が高く、こちらに興味を持って一緒に遊んでくれることもあります。御蔵島でイルカと一緒に泳ぐ最高の体験をしてみたい方は、ぜひチャレンジしてみましょう。
また、東京から船で24時間かけて行く小笠原諸島でもスキンダイビングができます。
船でしか行くことのできない世界自然遺産の秘境では、野生のイルカに出逢えたり、透明度40mとも言われる海でスキンダイビングをすることができます。
ぜひ日本各地の素晴らしい海で、スキンダイビングを経験してみましょう。
スキンダイビングライセンスの講習情報
スキンダイビングは、スキューバダイビングのようなライセンス(免許)の取得・保持は必須ではありません。
海水浴やシュノーケリングなどのマリンアクティビティの延長線上にある「海を楽しむためのスキルの一つ」という認識になります。
一方で、スキューバダイビングライセンス(通称Cカード)を管理・発行するPADIなどのダイビング団体には、スキンダイビング講習の専門コースがあります。
本格的なスキンダイバーを目指す方や初めての方はもちろん、しっかりと技術を身につけてより安全に楽しみたい方は受講することをおすすめします。
PADIスキンダイバーライセンスの取得方法
世界的なダイビング団体PADIでは、専門のスキンダイビングコースがあります。それは「PADIアドヴァンスド・スノーケラー」というスキン・ダイバーコースです。
多くのPADIダイビングスクールで受講することができますので、興味のある方はぜひ受講してみましょう。
- 受講条件:8歳以上(健康上の問題がある場合には参加できない可能性があります)
- 受講内容:レクチャー+プール(限定水域)ダイブ※海での実習はオプション
- 取得ライセンス:コースを終了し認定されると、スキンダイバーの認定カード(Cカード)が発行されます
- 金額:20000-25000円
- 期間:半日程度
スキンダイビング講習
自主練習を積むことで独学でもスキルアップが可能ですが、ダイビングショップが開催するスキンダイビング講習に参加することで、より効率的に安全にスキルアップをすることができます。
前途したようにダイビング団体PADIでは、スキンダイビング講習(アドヴァンスド・スノーケラーコース)を実施していますが、ドルフィンスイムツアーの練習としてオリジナルの講習を開催するスクールもあります。
PADIインストラクターの下で適切に学び、スキルを身に着けることで、より安全に楽しむことができるようになります。
スノーケリングを未体験の方は勿論のこと、これまでスノーケリングを自己流でやってきた方が次のステップとして本格的なフリーダイビングに進む前の基礎固めにもおすすめのコースです。
マレアが開催するPADIフリーダイビングコースの詳細はこちらから
スキンダイビングの練習方法
スキンダイビングの練習では、先ほどお伝えした4つの技術を中心に、前述した講習でも行う以下のポイントを練習すると良いでしょう。
- スキンダイビング器材の調整と使い方
- バディとダイビング前のセーフティ・チェック
- エントリー、エキジット方法
- 適切なウエイト量の調整
- 水面でのスノーケルの使い方と泳ぎ方
- 浮力を確保する方法
- 口からスノーケルを外して垂直にヘッドファーストで潜り、浮上する方法
- 一呼吸で水中を水平に15メートル/50フィート以上泳ぎ、浮上する方法
- ハンドシグナルを使ったコミュニケーション方法
練習する際は、水泳用プールもしくは海の限定水域(透明度・穏やかさ・深さの点でプールと同じような環境)で行うようにしましょう。
スキンダイビング上級者へのステップアップ
スキンダイビングのライセンスを取得するなど潜り慣れてきたら、ステップアップとしてフリーダイビングやスキューバダイビングに挑戦してみてはいかがでしょうか。
フリーダイビング講習
フリーダイビングは、スキンダイビングをより競技性の強いものに発展させ、スポーツとして楽しむものです。
ヨーロッパが発祥の地で、地中海やカリブ海などで発展し、今では世界中の人が競技と冒険を楽しんでいます。
ここでは、マレア沖縄店で開催しているフリーダイビング講習をご紹介します。
マレア沖縄店が運営する「宜野湾マリン支援センター」というフリーダイビングに適した施設を利用して、経験豊富なダイビングインストラクターが初心者向けの講習を行います。
透明度も高く初心者に優しい、明るく美しいサンゴ礁の海で潜れることが、フリーダイビングを沖縄で体験することの最大の理由です。
深い呼吸を通じて体の緊張やストレスを取り除くため、リラクゼーション効果もあります。水の中で日頃の疲れを癒すことで、リフレッシュすることができるでしょう。
マレアが開催するPADIフリーダイビングコースの詳細はこちらから
スキューバダイビング講習
スキューバダイビングの経験がある方で、すでに水深5m〜10mまでスキンダイビングで潜れるのであれば、「スキンダイビングを教える資格」というステップアップを考えてみてはいかがでしょうか。
ダイビング団体PADIのプロ資格であるダイブマスターコースでは、スキンダイビング講習(アドヴァンスド・スノーケラー)の実施方法を学ぶことができます。
コースを修了すれば、スキンダイビング講習を開催して認定ができるようになります。
自分でお友達やご家族にスキンダイビングを教えることができるので、一緒に潜りにいく仲間を増やすことが簡単になるでしょう。
また、ダイビングスクールマレアでは2024年度から東京でのフリーダイビングスクール開講を準備しています。
関東にお住まいの方は、WebサイトやInstagramなどのSNSで最新情報をチェックしてみましょう。
まとめ
スキンダイビングは、水中での浮力を利用して行う水中活動であり、特定の潜水装備(タンクやレギュレーター)を使用せずに行われます。
このアクティビティは、耳抜きや潜り方のテクニック、適切な装備、個人の練習方法が重要です。
スキンダイビングはシュノーケリングとは異なり、より深い水深に進むことが一般的であり、そのためにはライセンス取得や専門的なトレーニングが必要です。
また、スキンダイビングは水中での自由な移動や観察が可能であり、海中の生物や景観をより身近に感じることができる魅力があります。
この記事を参考に、安全なスキンダイビングを行う方法や適切な知識や技術を事前に身につけていきましょう。