ダイビングインストラクターになるには?年収や必要な資格も紹介
更新日:2023.12.29.Fri   投稿日:2023.12.28.Thu目次
海や水中で活躍するインストラクターは様々です。スクーバインストラクターやマリンスポーツインストラクターなどがいます。その中でも今回はダイビングのプロ、ダイビングインストラクターについて紹介します。
ダイビングインストラクターになるまでの道のりやダイビングインストラクターの給料事情、必要な資格などもまとめて紹介していますので、ぜひチェックをしてみてください。
海や水中で活躍するインストラクターとは?
海や水中で活躍するインストラクターには様々な種類があります。ここでは主な3つのインストラクターをご紹介します。
ダイビングインストラクター
ダイビングインストラクターは、ダイビングの知識やスキルなどのテクニックを指導する仕事です。具体的には、ダイビングライセンスの取得を目指す人に対して、講義やプール・海での実践を通して指導をします。
また、体験ダイビングツアーのガイドとして、参加者が安全にダイビングできるように先導します。ダイビングインストラクターはマリンアクティビティを教える立場の中でも、最も知名度の高い職業と言えるでしょう。
スクーバインストラクター
スクーバインストラクターは、基本的にダイビングインストラクターと同じと考えて問題ありません。ちなみに、スクーバとはダイビングの時に背負うタンクなどの器材のことを指しています。スクーバは英語で「SCUBA」となり、「Self Contained Underwater Breathing Apparatus」の頭文字です。
スクーバインストラクターと、ダイビングインストラクターの違いは明確に定義されていませんので、呼び方が違うと覚えておいてください。
マリンスポーツインストラクター
マリンスポーツインストラクターは、一般に水上バイクやシュノーケルなどマリンスポーツを指導する仕事です。マリンスポーツの幅は広く、SUP(サップ)やシーカヤックなども含まれます。
沖合のシュノーケルエリアに行くためには船を出すことがあるので、マリンスポーツインストラクターには船舶免許が必要になることもあります。職場がリゾートホテルなどの企業に属する場合は、業務に必要な小型船舶操縦免許やシュノーケルガイド資格取得の支援を行なっていることもあります。
しかし、インストラクターとしてデビューするまでは、プールやビーチの監視員などホテル内のサービス業を担当することもありますので、募集要項などをしっかりと確認するようにしましょう。
初心者からダイビングインストラクターになるまでの流れ
では海で活躍する「ダイビングインストラクター」になるにはどうしたら良いのでしょうか。ここでは、スクーバダイビング未経験者からダイビングインストラクターになるまでの流れを簡単にまとめていきます。
体験ダイビングツアーに参加
周りを海で囲まれた島国である日本には、多くの地域にダイビングスポットがあり、ダイビングショップによる体験ツアーが開催されています。ダイビングライセンスを所持していない方を対象とした「体験ダイビング」ツアーに参加して、実際に海に潜りダイビングの魅力に触れてみましょう。
楽しさだけではなく、体力面や健康面などに問題がないかをチェックすることが重要です。
ダイビングライセンス(Cカード)の取得
体験ダイビングに参加した後は、ダイバーへの一歩目であるダイビングライセンス(Cカード:Certification Card)の取得を目指しましょう。
ダイビング指導団体(例:PADI・NAUIなど)では、潜れる深さや海域によって様々なグレードのライセンスが用意されています。
ファンダイビングツアーに参加
ダイビングライセンスを取得したら、ライセンス保持者を対象とした「ファンダイビング」のツアーに参加してみましょう。
保持しているライセンスのグレードによって、潜ることができる深さも異なります。また、上位の資格を取得するには20本や60本、100本といった経験数が必要です。自身のステップアップをすれば潜れるポイントも増やすことができるので、ぜひチャレンジしてみましょう。
インストラクターライセンスの取得
ここまでの経験を経て「プロのダイバーになりたい!」と思ったらダイビングインストラクターライセンスの取得を目指しましょう。
ダイビングライセンス(Cカード)と同様に、PADIやNAUI、BSAC、SSIなどのダイビング指導団体が認定するプロコース開催ショップにより学科・実技などのインストラクタートレーニング講習が提供されています。
ダイビングショップに就職・起業
1年〜2年をかけてついにダイビングインストラクターライセンスを取得したら、ダイビングツアーやダイビング講習を開催するショップやスクールの求人を探し、就職およびインストラクター契約をします。もしくは、自身でダイビングショップを起業することも可能です。
現場経験が少ないうちはフリーランスとしての業務委託契約や、起業して自分だけで運営することは難しいでしょう。特に、命に関わるような事故への対策や対応、悪天候や荒天などの気象条件に対する判断力がおろそかなインストラクターは近年とても多いです。
お客さまであるダイバーや自分の安全のためにも、まずはダイビングショップに所属して経験を積むことを推奨します。
ダイビングインストラクターライセンスのランク
さて、「ダイビングインストラクター」といっても様々なランクが設定されています。ここでは、ダイバー数が世界トップシェアの国際的なダイビング指導団体「PADI」が設定するダイビングインストラクターライセンスをランクごとに紹介します。
オープンウォータースクーバインストラクター(OWSI)
OWSIは、ダイビングインストラクターとして認められるために1番初めに取得するライセンスです。
最低6日間の「インストラクター開発コース(IDC)」を受講し、さらに2日間に渡って開催される「インストラクター試験(IE)」を受験して合格する必要があります。IDCを受講するには、プロダイバー資格のダイブマスター(DM)を取得していることが必要です。
OWSIを取得すれば、最初にご紹介した体験ダイビングである「ディスカバースクーバダイビング・プログラム」から、プロの第一歩である「ダイブマスターコース」までを単独で実施することができるようになります。
マスタースクーバダイバートレーナー(MSDT)
MSDTは、5種類以上のPADIスペシャルティインストラクター資格を取得することが条件のインストラクターの上位ライセンスです。水中写真、ドリフトダイビング、ナイトダイビングなどの特殊な活動を教えるための資格です。
資格申請するためにはすでにオープンウォータースクーバインストラクター(OWSI)を取得していることが条件です。また、25名以上のPADIダイバーを認定していることが必要となりますので、実際に講習を開催して経験を積んでいることの証明になります。
IDCスタッフインストラクター(SI)
SIはIDCスタッフインストラクターコースに参加したダイバーに与えられるインストラクターライセンスです。IDCスタッフとは、インストラクターを目指す人に知識やスキルの向上をサポートすることが目的です。例えば、自社でインストラクター養成を行うためには、まずはこの資格を取得することが必須です。
SIはインストラクター開発コース(IDC)の全体像を把握することが求められ、取得後はPADIアシスタントインストラクターコースを単独で開催することができます。受講資格は、すでにマスタースクーバダイバートレーナー(MSDT)を取得していることが条件です。
マスターインストラクター(MI)
MIはPADIのダイビングインストラクターにおける最高ランクに値するライセンスです。インストラクターとして2年以上経過しており、150名以上のダイバーを認定し、なおかつ基本的なコースの全プログラムの実施経験を持つインストラクターであることなど、厳しい条件をクリアする必要があります。
また条件として、PADIが定めたルールである規準の逸脱など、過去6ヶ月以内に違反の経歴がないことなどが求められます。
コースディレクター(CD)
CDは、PADIダイビングインストラクターを指導するトレーナーに与えられるインストラクターのライセンスです。アメリカのPADI本部による「PADIコースディレクタートレーニングコース(CDTC)」に参加する必要があり、ダイビング教育者を育成する経験と実績を積む必要があります。
CDTCは世界中で年に数回しか開催されず、参加には他のコースディレクターや地域のPADIスタッフからの推薦が必要です。日本からはマレーシアで年に1回開催されるCDTCに参加することが多いです。
CDは全世界にいるダイビングインストラクターの中でも、限られたダイバーにしか与えられない最も難易度の高いランクです。
様々なダイビングインストラクター資格について、ご紹介しました。
ダイビングインストラクターになるためには、他にも緊急時の救助方法などの知識を習得する「エマージェンシーファーストレスポンスインストラクター(EFRI)」や「レスキューダイバー(RD) 」などが必要となります。
【関連記事】ダイビングのライセンス取得は難しい?ライセンスの種類について
これからダイビングインストラクターを目指す方は、まず第一歩として「オープンウォータースクーバインストラクター(OWSI)」の取得を目指してみましょう!
ダイビングインストラクターの仕事内容は?
ダイビングインストラクターの仕事はダイビングツアーのガイドだけではありません。後輩のインストラクターを指導したり、店舗運営をしたりと陸の業務も多くあります。
ここでは、ダイビングインストラクターの仕事内容の一例をご紹介します。
ダイビングツアーのガイド
「ダイビングインストラクター」と聞いてまず頭に浮かぶ仕事内容が「ダイビングツアーのガイド」ではないでしょうか。観光客や初心者ダイバーなどに訪れたダイビングスポットの魅力を伝える「ダイビングツアーのガイド」が最も魅力的な業務だというインストラクターも多いです。
インストラクターの指導
新たなインストラクターやショップスタッフを育てるための育成や教育をすることも、ダイビングインストラクターとしての仕事です。基本的な接客マナーから、学科講習の話し方・伝え方、レンタルやお客様が使用するダイビング器材の知識やメンテナンス方法など、水中以外でも教えることはたくさんあります。
一般的な店舗業務
あまり知られていませんが、インストラクターが最も時間を割く業務が店舗業務です。ダイビング器材の準備や販売商品の管理、お客様の送迎やSNS・ホームページの更新など、陸上で行う業務は多岐に渡ります。海の仕事と思われがちなインストラクターですが、陸上での業務もたくさんあるのです。
ダイビングインストラクター講習・受験の費用は?
ここではダイビングインストラクターになるために必要な講習の一覧や受験の費用などをまとめます。結論から言うと、ダイビングインストラクターになるまでの費用はかなり高額となります。
例えば、未経験者からインストラクターを目指す場合には、総額でおおよそ150-200万円が必要だと言われています。
費用は受講するショップによって異なるものの、「インストラクター試験(IE)」まででおおよそ100万円程度。(内訳はダイビングライセンス・レスキューダイバー・エマージェンシーファーストレスポンスインストラクター・ダイブマスターの取得、インストラクター開発コースの受講・インストラクター試験の受験)
また経験を積むために多くのファンダイビング実施本数が必要となります。1日2回のダイビング費用が15,000円で考えると、60回の経験を積むために45万円がかかります。
さらに、使用するダイビング器材一式の購入費用、維持費などを鑑みると、最低でも150-200万円は必要になります。金銭面だけでも、「ダイビングインストラクターになるには相当な覚悟が必要」であると言えるでしょう。
ダイビングインストラクターの年収・給料
では、ダイビングインストラクターの年収はどの程度でしょうか。働くダイビングショップの規模や運営会社の経営状況によって様々ですが、多くの場合は残念ながら高収入ではありません。
一例を挙げると、新人の頃は月収12−15万円程度、ベテランでも月収20-25万円程度というケースもあるようです。基本給以外の収入としては、オプション販売のインセンティブ・賞与・固定残業代が別途支払われる職場もあります。また、海外で働く場合はお客様からのチップも収入になります。
このように高収入を見込める仕事ではなく、季節によっても仕事量に差があるため、Wワークや副業としてダイビングインストラクターに従事する方もいます。本業やWワーク先としては、民宿・ホテル・ライフセーバー・ジムインストラクター・飲食店・カメラマンなどの職業があります。
ダイビングインストラクターの仕事の魅力は、収入の多い少ないではなく、「大好きなダイビングや海に関わる仕事をする喜び」の方が重要ではないでしょうか。
とはいえ、複数店舗を運営するような大手ダイビングショップでは、店長やマネージャーとして30万円以上の月収が見込めます。自分の好きな場所でダイビングインストラクターとして経験を積み、収入アップのために大手ダイビングショップへ転職をするケースも少なくありません。
まとめ
ダイビング未経験者からダイビングインストラクターになるまでの流れや、ダイビングインストラクターの仕事内容・給料事情についてもご紹介しました。
未経験からインストラクターになるためには様々な資格を取りながら、ダイビングの経験値を上げていく必要があります。ダイビングインストラクターの年収は決して高収入とは言えないですが、ダイビングが好きで海を楽しめる人にとっては最高の環境で働ける職業です。
海や魚が好きという人はぜひ目指していただき、海の素晴らしさを多くの人に伝えていきましょう!