ダイビング中の頭痛を防ぐ!おすすめの予防策
更新日:2024.06.20.Thu   投稿日:2024.05.24.Friスキューバダイビングは非日常を味わうことのできる楽しいレクリエーション活動です。しかし、そんな楽しいダイビング中、頭痛を引き起こした経験はありませんか?
せっかくの時間が体調不良によって台無しになってしまっては勿体無いですから、万全の状態でダイビングを満喫したいものです。
そこで本記事では、ダイビング時に起こる頭痛の主な原因を解説し、その種類と特徴を紹介します。
ダイビング中の頭痛は呼吸方法や水中での圧力変化によるものがほとんどですが、適切な知識と予防策を学ぶことでリスクを軽減できます。記事を読んで、楽しくダイビングに臨む準備をしましょう。
ダイビングと頭痛の関連性
そもそもなぜ、スキューバダイビング中に頭痛が起きてしまうのでしょうか?この章ではダイビングによって引き起こされる頭痛の一般的な原因を紹介し、水中にいることで自身の体にどんな変化があるのか学んでいきましょう。
ダイビング時の頭痛の一般的な原因
頭痛を引き起こす一番大きな原因は「呼吸方法」によるものです。
例として4つ、頭痛につながるスキューバダイビング中の呼吸について紹介します。
①呼吸回数が少ない
極端に深いゆっくりとした呼吸をしている状態。特にスキューバダイビングを始めたばかりの初心者にとって、正しい呼吸方法が確立していないまま「ゆっくり吸ってゆっくり吐く」と教えてもらった通りに実践しようとして、極端な呼吸をしてしまいます。
②浅くて速い呼吸
吸った空気が肺まで届かず、気管のみ換気されている状態。特に、流れの強い場所で逆らって泳いだ時や、ディープダイビングの帰りに空気の残圧が少なくなったときなど、水中で激しく泳いだ場合に呼吸が浅くなってしまうことがあります。
③ホールド呼吸
ホールド呼吸とは、大きく息を吸った後、吐き出さず止める呼吸のことを指します。浮力の調整や、シリンダー(タンク)のエアを温存するために行われることがある方法です。しかし本来、浮カコントロールの微調整は、呼吸の深さ(吸気が大きく呼気が小さい呼吸、もしくはその逆)や速さ(肺にたくさん空気が溜まっている際に吸気・呼気を速くまたはゆっくりするなど)によって行うものです。呼吸を止めてはいけません。
④スキップ呼吸
スキップ呼吸とは、その名の通り呼吸をスキップすることを指します。通常息は「1回吸って1回吐く」というのが原則ですが、スキップ呼吸の場合「2回吸って1回吐く」「1回吸って2回吐く」など変則的な呼吸をします。②と同様の理由で使われることがある呼吸方法です。
上記のように、呼吸が浅かったりリズムが狂ったりすることで、二酸化炭素の排出がうまくできず、脳が酸素不足と認識して頭の血管が広がります。血管が広がると周囲の神経が刺激されて頭痛が発生します。また、エアの消費を抑えるつもりがなくても普段からの呼吸量が少ない方(肺活量の少ない方)は頭痛になることがあります。
圧力変化がもたらす影響とは?
スキューバダイビングは潜降するに従って、水圧が体に負荷を与えます。それによって引き起こされる頭痛で、有名なものを2つほど挙げていきます。
①副鼻腔圧外傷(サイナススクイーズ)
副鼻腔(サイナス)とは頭蓋骨に空いている空洞のことです。副鼻腔には空気が通るようになっており、ダイビング中は水中の圧力を均等化する役割を兼ね備えています。しかし、風邪やアレルギーなどで鼻が詰まると、本来空気の通り道になるはずの副鼻腔内の空気が孤立してしまいます。その状態で潜降すると、水圧の影響で副鼻腔内の空気が収縮されていき、痛みにつながるというメカニズムです。この場合の症状や徴候としては、眉間から鼻の奥に痛みを感じることが多いです。
②減圧症
減圧症とは、潜水終了直前や潜水後に起こる症状で、程度にもよりますが頭痛だけでなく、関節痛や吐き気を伴うこともあります。また、重症の減圧症では痙攣や下半身の麻痺を起こすこともあります。原因としては急な圧力の変化が挙げられます。
通常ダイビング中に吸い込んだシリンダーのガスに含まれる窒素などは、水深の圧力に応じて体に溶け込みます。そして、体内に溶け込んだガスは、浮上による減圧と共に排出されていきます。しかし、急激に圧力が低下した場合は排出が間に合わず、ガスが体内で気泡化し血管の詰まりや組織の圧迫を引き起こします。
いかがでしょうか。
ここまでは主な原因について紹介しました。特に「呼吸方法」については自分で意識して呼吸を止めないようにしたり、きちんと肺まで空気を送るようにしたりして、対策を講じることができますので、ぜひ取り入れてみてください。次の章はさらに細かく頭痛の種類について紹介していきます。
ダイビングによる頭痛の種類と対策
6つの頭痛の種類と対策
前の章で挙げた頭痛を引き起こす要因も含め、主に6つの種類があります。それぞれ対策についても記載したので併せてチェックしてみてください。
①呼吸方法(二酸化炭素の排出不足から起こる頭痛)
先ほども紹介しましたが、呼吸の乱れによって二酸化炭素が体内に蓄積し、血管が膨張することによって頭痛を引き起こします。
対策:体内に二酸化炭素をためないよう、呼吸をする際に息をしっかり吐くよう心がけましょう。そうすることで肺に新鮮な空気がたくさん入り、空気循環がよくなり二酸化炭素濃度が少ない状態を保つことができるので頭痛は起こらなくなります。
②マスクのストラップを締めすぎたことによる頭痛
マスクに水を入れたくなくて、ついきつく締めてしまうことがあります。エントリー直後は快適ですが、徐々に締め付けが圧迫感に変わり、頭痛を引き起こしてしまいます。
対策:マスクを適切な具合に調整することが重要です。丁度いいストラップの締め加減は、マスクを片手で持って浮かせた際、顔とマスクに少し隙間が空く程度がいいとされています。
③緊張型頭痛
緊張型頭痛とは、普段から肩こりなどに悩んでいる方が、重たいダイビング器材を背負うことで血行が悪くなり起こる頭痛です。頭の後ろから首にかけて重くなったり頭が締め付けられたりして痛くなります。
対策:ダイビング前にしっかりストレッチを行い、肩まわりや首周りの凝りをほぐすことが重要です。マッサージなども効果的ですが、日常的に運動を行い血行を良くしておきましょう。
④虫歯による頭痛
「なぜ虫歯が頭痛の原因に?」と思われるかもしれませんが、虫歯治療の際、かぶせ物と歯の隙間に空洞が生じる場合があります。その空気が潜降中に収縮し痛みを引き起こすのです。非常に稀なケースですが、頭痛を感じる方もいるようです。
対策:痛みを感じた場合はダイビング後、改めて歯医者さんに治療してもらいましょう。
⑤副鼻腔圧外傷(サイナススクイーズ)
様々な原因で副鼻腔から空気が抜けず、潜降に伴い鼻腔内の空気が収縮することで起こります。
対策:点鼻薬や薬を服用することは対策の1つですが、体調が悪い時は無理をせず、ダイビングを見送りましょう。また、もともと副鼻腔炎の方は病院に行って治療してもらいましょう。
⑥減圧症
減圧症とは体に溶け込んだ窒素が、急浮上が原因で気泡化してしまう潜水病です。
対策:浮上速度をしっかり守る、深度のある場所で長時間滞在しない、水面休息時間をしっかり確保するなど、安全なダイビングを心がけましょう。
一酸化炭素中毒による頭痛とは?
最近ではあまり聞かなくなったため例外的ではありますが、上記で紹介した事例のほかに一酸化炭素中毒による頭痛というものもあります。
原因は、シリンダー充填時に排気ガスやタバコの煙が混入してしまい、それによって一酸化炭素中毒が起こります。
一酸化炭素とは、炭素を含む物質が不完全燃焼する際に生じる気体のことで、人が吸い込むと血液中のヘモグロビンと結びつく性質を持ちます。
本来、ヘモグロビンは酸素と結びついて全身に酸素を運搬するはたらきを担いますが、一酸化炭素は酸素よりはるかにヘモグロビンと結びつきやすいため、多くの一酸化炭素を吸い込むと全身の酸素が不足していきます。
その結果、頭痛やめまいといった症状が出てしまうのです。
対策としては、管理のしっかりしたシリンダー充填所からシリンダーを借りることです。また、万が一変な匂いがした際は、直ちに使用をやめてください。
まとめ
スキューバダイビングをしていて頭痛を起こしたことがある方は、該当することがありましたか?
ダイビングが引き起こす頭痛の種類は多岐にわたりますが、それぞれに対策方法があります。ダイビング前に確認し、予防・対策を怠らないようにしましょう。また、持病などがある場合は事前にかかりつけの医師の方と相談し、治療してからダイビングを楽しみましょう。
本記事では、ダイビング時の頭痛の主な原因を解説し、その種類と対策を紹介しました。ダイビング中の頭痛は水中での呼吸方法や圧力変化によるものですが、適切な知識と予防策を学ぶことでリスクを軽減できることがわかりました。
ダイビングをする際にはこれらの知識を活用し、安全・快適に楽しむための準備をしっかり整えましょう。