ビーチダイビングとボートダイビングの魅力とは? 初心者から上級者まで楽しめるダイビングガイド

更新日:2024.06.20.Thu   投稿日:2024.06.20.Thu

ダイビングは自然の美しさを間近で体験できるアクティビティですが、ビーチダイビングとボートダイビングどちらを選べばよいのか迷うこともあるでしょう。この記事では、ダイビング形式それぞれの特徴、メリット、デメリット、選び方について解説をします。

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ビーチダイビングとは?

沖縄本島の砂辺でビーチダイビング

ビーチダイビングの概要

ビーチダイビングとは、全ての器材を装着してシリンダーを背負った状態で、浜辺や海岸などの陸地から歩いて海へ直接入るエントリー方法のダイビングスタイルを指します。最初から深場に飛び込むボートダイビングとは違い、浅瀬からゆっくり深度を下げていくことができるので初心者の方でも安心のエントリースタイルと言えるでしょう。

また、一概に「ビーチ」と言っても、海水浴をする砂浜のような浜辺だけではなく、砂利浜やゴロタ石、岩礁地からエントリーすることも含まれます。岩場では足場が不安定な場所もありますが、ダイビングスポットによっては陸から海中に続くスロープや土嚢が設置されているなど、エントリーとエキジットしやすい環境が整っている施設もあるので安心してください。

※浜辺以外からエントリーする場合、海外では「ショアダイブ」と呼ぶこともあります。

ビーチダイビングのメリット・デメリット

ビーチダイビングでも美しい八丈島

メリット

ビーチダイビングの最大のメリットは、浅瀬から歩きながらゆっくりと自分のペースで海に入っていくことができる点です。足のつく状態から徐々に水深が深くなるため、初心者の方やひさしぶりにダイビングをする方も安心して潜ることができます。

また、深度変化が緩やかなので、中性浮力が得意ではない方や耳抜きに自信がない方でも比較的ストレスを感じることなく潜れるでしょう。

体験ダイビングやダイビングライセンス講習の際に、万が一、耳抜きがうまくいかなかった場合や呼吸が安定しない際にも、足をつけて立ち上がることができるのも安心ポイントの一つです。

ボートに乗る必要がないので、船酔いの心配もなく、決められた出港時間までに準備を焦ることもなく、手軽にできるダイビングだとも言えます。また、自分たちのチームだけで計画を立てることで1ダイブを長く潜ることができるので、ナビゲーションの練習や水中写真撮影の練習にも適しています。

デメリット

ビーチダイビングのデメリットは、やはり重い器材を背負ってある程度の距離を歩かなくてはいけない点です。そのため、体力に自信がない方は少し苦労するかもしれません。
エントリーの際には、波打ち際でのテクニックも多少必要です。波が高い時や干潮時など足場に気をつけてゆっくり進まないと、転んでしまう可能性もあります。これは、色々なビーチエントリーの場所を経験してみること、また、様々な海況でのダイビングを経験することで慣れてくるでしょう。

更に、デメリットとして捉えるかは人それぞれですが、深場へ行くのに距離や時間を要するため、ダイビング全体の深度としてはボートダイビングと比べると比較的浅くなります。そのため、深場にしかいない生き物を見たり、広範囲を楽しむのには適していない場合もあります。

国内ビーチダイビングのおすすめスポット

大瀬崎と富士山

伊豆 大瀬崎

大瀬崎は、伊豆半島の付け根に位置している沼津市にあります。駿河湾から約1km突き出た弓形の岬で、日本最深の駿河湾にあるため深海魚からクジラやマンボウなど、幅拾い生物を観察することができます。
そのため、通年多くのダイバーが訪れるダイビングポイントで、伊豆半島屈指のダイビングポイントとしても有名です。この大瀬崎には大きく分けて3つのエリアがあり、それぞれ異なる特徴があります。

ひとつ目はメインとなる【湾内】です。陸地で囲まれている形状のため、天候の影響を受けにくく台風が直撃しない限り潜れるほど穏やかであるため、ライセンス講習や体験ダイビングに使われることも多いです。
しかし、初心者向けで退屈かというとそんなことはありません。湾内にもかかわらず、多くの生物が通年通してダイバーを楽しませてくれる上に、大瀬崎で唯一ナイトダイビングができるポイントでもあります。

他には、湾内の反対側にある【外海】では、外洋性の回遊魚からソフトコーラル、ウミウシなどのマクロダイビングも楽しむことができます。エントリー口が複数設けられており、柵下(さくした)に大川下(おおかわした)、一本松(いっぽんまつ)、門下(もんした)、更に玉崎(たまさき)の5箇所があります。

最後は、大瀬崎神社内を通過していくポイントで、土日と祝日のみ解放される【先端】があります。潮通しが良い位置にあり、回遊魚やソフトコーラルなどの群生、魚の群れが楽しめる少し特別感のある場所です。また黒潮の接岸により、過去にはマンタやジンベイザメ、マンボウなどの大型生物が出現したことのある非常に豊かなポイントです。

伊豆大島の秋の浜でビーチダイビング

伊豆大島 秋の浜

東京から1時間45分で行ける、伊豆諸島最大の島「伊豆大島」は言わずと知れたダイビングの人気スポットです。自然溢れる伊豆大島の海は通年通して透明度も良く、小さな生き物を楽しむマクロ派ダイバーから、魚群やソフトコーラルなどを好むワイド派まで、幅広いダイバーが楽しめる海です。

伊豆大島には、ビーチダイビングのポイントが5箇所あり、その中でも北部エリアに位置する「秋の浜(あきのはま)」は大島を代表するポイントと言えるでしょう。
カエルアンコウやコケギンポなどのマクロ生物が観察できたり、ニタリザメやザトウクジラなどのダイバーが一度は出会いたいと願う貴重な大型生物が出現したりと、ビーチポイントとは思えないほどに奥が深い場所です。

また、エリアが広く様々なコースで水中散歩を楽しむことができるため、何度潜っても飽きることがありません。東京から高速船で2時間かからずに、年間通して多くのダイバーが楽しめる場所、それが伊豆大島です。

八丈島のナズマドでビーチダイビング

八丈島 ナズマド

羽田空港から飛行機で55分、竹芝桟橋から船で10時間で行ける伊豆諸島南部の島「八丈島(はちじょうじま)」も多くのダイバーに人気です。その理由のひとつは、ダイビングポイントの多さです。

伊豆諸島の中でも群を抜いて多くのダイビングポイントがあり、透明度も良く真っ青なブルーが特徴的。中でも人気のポイント「ナズマド」では、黒潮の通り道に位置する八丈島の海ならではのイソマグロやヒレナガカンパチに出会える可能性も。また、大型回遊魚に加えて、過去にはザトウクジラの群れに遭遇したというダイバーも居ました。

そして、なんと言っても日本の固有種であるユウゼンや、溶岩が作り出したダイナミックな地形も八丈島ならではの景色。一度は訪れたい場所のひとつです。

ボートダイビングとは?

伊豆でボートダイビング

ボートダイビングの概要

ボートダイビングとは、前記したビーチダイビングとは違い、船に乗ってダイビングポイントまで移動し、船上から海に入るエントリー方法のダイビングスタイルを指します。ビーチのように器材を背負って歩かなくて良い点は、ボートダイビング最大の特徴と言えるでしょう。

ポイントに着いたらボートから海へ飛び込みますが、この時大きく分けて3種類のエントリー方法があります。
ひとつは、船の縁に器材を背負ったまま座り、そのまま後ろに倒れるバックロールエントリー。次に、立った状態で足から飛び込むジャイアントストライドエントリー。最後に、船についているラダー(梯子)を使ってエントリーする方法です。

また、ボートの形状や移動時間によっても勝手が変わります。例えば、乗船してからポイントまでの移動時間が短い場合は、器材を陸で背負ってから船に乗り込みます。伊豆のダイビングでよくあるスタイルです。
一方で、沖縄などのように陸から30分〜1時間ほどの長距離移動をする場合は、器材をボートに積み込んで船上で器材のセッティングをします。ダイバーは身軽な状態でボートに乗り込み、ダイビングポイントに到着してから器材を装着しダイビングを開始することが多いです。

ボートダイビングのメリット・デメリット

伊豆でボートダイビング

メリット

ボートダイビングの最大のメリットは、ビーチからのエントリーでは遠すぎて行けないポイントまで船が運んでくれる点です。
浅瀬から目当ての場所まで移動する必要もなく、メインとなる場所まで行き、真上からエントリーができるのはダイバーにとって非常に魅力的。また、ビーチと比べるとポイントのバリエーションも多く、目的や好みに合ったダイビングが選択しやすい一面もあります。

更に、基本的には器材を背負って歩く必要もないので、体力や足腰に自信が無い方でもボートダイビングならできる、と言う場合も多いです。
ボートによっては、トイレやシャワー、更衣室が完備されていることもありますので、ちょっとしたリゾート気分も味わえるのも特徴です。

デメリット

快適に思えるボートダイビングですが、多くの方が直面するデメリットとしては船酔いでしょう。特に、長時間乗らなければいけない場合は、ベテランのインストラクターでも体調管理に苦労している方もいます。もともと酔いやすい方は、乗船前に酔い止めを服用しておくことをおすすめします。

船酔いした状態では安全にダイビングが行えない上に、最悪の場合は参加を許可されないこともあります。また、体質にもよりますが寝不足や二日酔いなども船酔いを引き起こす原因となりますので、必ず万全なコンディションで当日を迎えましょう。

デメリットとは言えないかもしれませんが、ボートダイビングは最初から足のつかない水深へエントリーします。
そのため、初心者の方は少し不安に感じることもあるかもしれません。インストラクターやガイドの指示にしたがって梯子やロープなどに掴まり、水面で呼吸を整えてから焦らずに落ち着いて潜降しましょう。

国内ボートダイビングのおすすめポイント

雲見のボートダイビングポイント

伊豆 雲見(地形)

伊豆半島の西側、松崎町にある「雲見(くもみ)」にはボートポイントが6箇所あります。乗船後の移動時間は平均2〜3分で、一番遠いポイントでも10分余りで到着します。

長距離移動のボートダイビングでは休憩も船の上で取ることが多くなりますが、雲見では毎回1ダイブ終了後、一度港へ戻るスタイル。またブイやロープ、安全停止バーが設置されているので初心者やボートダイビングに慣れていない方でも安心して潜れるエリアです。

ここ雲見と言えば、ダイナミックな地形と水中洞窟が有名です。メインポイントとなる、牛着岩(うしつきいわ)は、大牛と小牛の2つの大きな露出岩で構成されており、水中ではその間の水路を通り抜けることができます。他にも迷路のように入り組んでいる穴やクレバスなどが無数にあり、1ダイブでは全てのコースを周りきれないほど。

洞窟以外にもキンギョハナダイなどの魚影の濃さや、冬にはたくさんのウミウシが見れるなど四季折々の楽しみ方があります。

神子元島の灯台

伊豆 神子元島(大物、群れ)

伊豆半島の最南端、石廊崎から約9キロ沖合にある神子元島(みこもとじま)には、ダイバーなら一度は潜ってみたい景色があります。
神子元島の魅力はなんと言っても、「ハンマーヘッドシャーク」と呼ばれるアカシュモクザメが群れになって出現することです。

神子元島で見られるハンマーヘッドシャークの数は数百を超えることもあり、その光景は訪れたダイバーを魅了し続けています。

ダイビングスタイルはボートダイビングの中でも中〜上級者向けのドリフトダイビング。海況によっては激しい海流の中を泳がなくてはいけないことや、地域ルールとして経験本数が30本以上と決められているなど、難易度の高いダイビングポイントでもあります。
ハンマーヘッドシャークを見に国内外から数々のベテランダイバーたちがこぞって集まる神子元島ですが、チャレンジする前には必要なスキルをしっかりと身につけましょう。

慶良間諸島でボートダイビング

慶良間諸島 (白い砂地、サンゴ礁)

沖縄本島から船に乗って約1時間で訪れることができる慶良間諸島には、世界的にも知られている美しい海があります。その海の綺麗さは「ケラマブルー」と呼ばれていて、白い砂浜やサンゴ礁、世界屈指の透明度が高い海の中は、まさに楽園と言っても過言ではないでしょう。

また慶良間諸島は、世界的に見ても多様なサンゴが生息していることや、ザトウクジラの繁殖海域であることなどから2014年に国立公園として指定されました。
ダイビングポイントのバリエーションも豊富で、浅瀬の白い砂浜とデバスズメダイが群れるサンゴ礁をのんびり潜れる初心者ポイントから、ダイナミックな地形を楽しむ上級者向けドリフトダイビングまで、自分のレベルに合わせて楽しむことができます。

ビーチダイビングとボートダイビングの選び方

雲見ダイビングの安全停止バー

選び方1【経験で選ぶ】

これまで、ボートダイビングしかしたことが無い方にとって、ビーチダイビングは少しチャレンジの気持ちが必要でしょう。逆も同じです。今度の休日にどこへダイビングをしに行こうか?と計画する際は、これまでのダイビングスタイルを思い出して、ビーチエントリーのポイントにするか、ボートダイビングのポイントにするか、または1日ずつ・1本ずつ変えるなどの検討をしてみましょう。

ビーチダイビングがおすすめな方

足の着く場所からエントリーができるので、初心者や久しぶりにダイビングをされる方も安心して潜ることができます。一方で、波打ち際には特別な注意と少しのテクニックが必要なことを事前に知っておきましょう。

しかし、ボートと違って、潜降・浮上スキルはさほど求められません。ボートからエントリーする先は足のつかない深度になるため、潜降・浮上時に正確なコントロールが求められます。
適切にコントロールができないと、耳を痛めてしまったり、ボートへの接触による怪我の原因に繋がったりすることがあるため、場合によっては少々危険なこともあります。

また、ビーチダイビングでは基本的には深度の幅が大きくないため、浮力コントロールに自信がない方にもおすすめです。

ボートダイビングがおすすめな方

ダイビングポイントまでボートで移動ができるため、体力の負担が少ないです。体力に自信がない女性やご年配の方と一緒に潜る際にはボートダイビングがおすすめです。

ビーチでは、重たい器材を背負った状態で、歩けるぐらいの体力が必要とされます。また波打ち際からエントリー・エキジットもしなければならず、波のタイミングをしっかりと見るスキルも求められます。

その点、ボートであれば船の形状にもよりますが、船尾の縁に座った状態で器材を背負うこともできるので安心です。それでも、安全停止中は水底が見えないことも多く、潜降ロープがない場合はホバリング(中性浮力を使って静止するスキル)をする必要があります。

レベルに合わせたボートポイントを選択しましょう。

八丈島のナズマドは地形ダイビング

選び方2【目的で選ぶ】

一概にダイビングと言っても「綺麗な海に潜りたい!」「ウミガメを見てみたい!」などそれぞれ求める要素は異なります。自分の好みや目的に合わせて選びましょう。

例えば、ダイナミックな外洋ポイントに行きたいならば大抵の場合はボートダイビングが適しています。また潜れるポイントのバリエーションも豊富なので、出会える景色や生物も多種多様です。

一方で、じっくり水中写真の練習がしたいということであれば、時間や深度をコントロールできてマイペースに潜れるビーチダイビングが適しているでしょう。

また、ビーチダイビングは、ボートに乗って移動することがないため時間の融通が効きやすく、半日だけでも充分に楽しむことができますので、飛行機移動の到着日に午後からダイビングをするなど旅行のプランにも組み込みやすいです。

まとめ

ここまで記述した通り、ビーチダイビングとボートダイビング、それぞれに魅力と注意点があります。ビーチにはビーチの良さがありますし、ボートにもボートの良さがあります。

自分の経験レベルや好み、見たい生物や景色、その時の旅行プランに合わせて選ぶことが大切です。また、それぞれで必要なテクニックやスキルも異なります。行きたいと思っているダイビングポイントが、ボートエントリーなのかビーチエントリーなのかを確認するとともに、事前にダイビングショップやダイビングサービス等へ、適切な準備や装備について聞いておきましょう。

自分とバディに合ったダイビングで、海の美しさを堪能してください。また、各ダイブの注意点を守り、安全に配慮しながら環境保護に努めることも大切です。初心者の方や中性浮力に自信のない方は、美しいサンゴ礁を傷づけないためにも、まずはビーチダイビングで練習を積みましょう。

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