船酔いをする方必見!予防と対処方法をダイビングインストラクターが解説!
更新日:2023.04.12.Wed   投稿日:2021.06.18.Fri目次
世界中には数多くのボートダイビングポイントが存在し、その数はダイビングポイント全体の約8割とも言われています。ボートダイビングができるようになると、これまでに味わえなかった多くの魅力に気付くことになるでしょう。しかし、その中で唯一とも言っていいほど心配なのが「船酔い」。
「乗り物が得意ではないけど、ボートダイビングを満喫したい!」そのような方はきっと多いはず!今回はそのような心配事を少しでも減らすために、船酔い予防と対処法を沖縄在住のダイビングインストラクターが解説します。
そもそも乗り物酔いってなぜ起こる?
ダイビングボートに限らず、車や飛行機、電車などでも乗り物酔いを引き起こす場合があり、その原因は大きく3つあると言われています。
1. バランスの乱れ
身体の平衡感覚は内耳の器官(三半規管、耳石器)で調整されています。しかし、乗り物に乗って、激しく揺れている状況がその人の限界を超え(激しい揺れと感じる度合は個人差がある)、異常な刺激として脳に伝えられ、自律神経の働きが混乱し、めまいや吐き気などを引き起こしてしまいます。
2.視覚と嗅覚の刺激
トリックアートのようなイラストを集中して見ていたら気持ち悪くなった・・・
まったく揺れていない船の上から波(動く水)を見ていたら気持ち悪くなった!
車窓から通り過ぎる景色や建物を見ていたら気持ち悪くなった!という方もいるのではないでしょうか?
これは、目からの情報と身体で感じる情報にズレが発生し、乗り物酔いを起こす原因になります。また、排気ガスや不快な臭いの刺激で乗り物酔いを引き起こす場合もあります。
3.自律神経の乱れ
車の運転をしていれば酔わないけど、助手席や後部座席に乗車していると、なぜか酔う方もいらっしゃいます。運転していれば、この先の道がどうなっているのか、当然把握することができます。しかし、同乗者はハンドル操作などを含め、運転手任せのため、車の動きを予測することができません。それは、脳が予測した情報にズレが生じ、自律神経の働きが乱れて酔いが発生するのです。
また、睡眠不足など、その日の体調や過去の苦い経験に対するトラウマも大きく影響されます。ちなみに、同じ人でも酔う日と酔わない日があるのは、情報を処理できる脳の限界がその日の体調によって異なるからです。
船酔い予防策:ダイビングボート乗船前
まずは、ダイビングボートに乗船前の予防策として、前日と当日の予防策をまとめてみました。
ボートダイビングの前日
十分な睡眠
旅行中はついついテンションが高くなり、夜遅くまで遊んでしまうこともあるでしょう。しかし、次の日にボートダイビングを予定している場合、夜遊びは控えめにして早めに就寝するようにしましょう。
過度なアルコール摂取
毎日の習慣で飲酒をする方も多いでしょう。しかし、ダイビングの前日はいつもより控えめ、もしくは禁酒し、翌日のボートダイビングに備えるようにしましょう。
消化の良い夕食
特に脂っこい食事は控えるようにすると良いでしょう。沖縄料理は比較的、脂っこいメニューが多いので、注文する際は十分に気を付けることをオススメします。
ボートダイビングの前日に行うべき予防策を3つお伝えしましたが、どれもが旅行中についやってしまいがちなことですが、せっかくの美しい海でのボートダイビングを満喫するため、少し我慢するようにしましょう。
ボートダイビングの当日
消化の良い食事
ボートダイビング当日の朝食も脂っこいものは控えるようにし、消化の良いものを摂取しましょう。また、満腹や空腹の状態も船酔いを促進させますので要注意!なるべく乗船の1時間前には食事を終えるようにすると良いでしょう。
飲み物について
あまり知られていないのが、炭酸水(果汁が入っていないもの)を飲むことが船酔い対策に良いのです。炭酸水やカフェインには自律神経を整えることや胃腸の不快感を軽減、感覚の乱れを抑制する作用があります。船に乗る前に一口飲むとリフレッシュできるかもしれないですね。
柑橘系ジュースなどは乗り物酔いの促進する効果がありますので、控えるようにしましょう。
リストバンドや酔い止め薬の準備
実は酔いにくくなるツボがあるってご存知でしたか?そのツボを押してくれるリストバンドが市販されていますので、気になる方はダイビングショップに相談してみてください。
また、酔い止め薬を飲むことも忘れないようにしましょう。酔い止め薬を旅行先で手に入れることが困難な可能性もあることから、予め購入し、準備しておくと安心です。
船酔い予防策:ダイビングボート乗船中
ボート乗船中の待機場所
ボートに乗船したらまずは揺れが少ない場所に行きましょう。一般的に揺れが少ない場所はボートの中央部です。しかし、ボートのタイプによっては中央部にエンジンが搭載されている場合がありますので、エンジンルームを避けた上で待機する場所を選ぶようにしましょう。
次に、換気の良い場所を選ぶようにしましょう。ボートの後部(船尾)付近では排気ガス臭がすることがあるため、後部(船尾)は避けるようにしてください。また、ボートにはキャビンと言われる室内が設けられているタイプもありますが、キャビン内は換気が良くありませんので、キャビン内で待機することはオススメいたしません。
視覚的な刺激を和らげる
サングラスをかけることをオススメします。サングラスは視覚的に刺激を和らげる効果があるともいわれています。ダイビングインストラクターってサングラスをかけている方が多いですよね。おそらく船酔い予防だけではありませんが。
また、ボート乗船中は風通しが良いところで、外の景色(遠くの景色)を見るようにしましょう。読書をしたり、携帯やスマホを見ることは絶対に避けるようにしましょう。車と一緒で、すぐに酔ってしまいます。
器材やウェットスーツの準備
ダイビング器材の準備についてですが、ボートには数多くのダイバーが乗船しており、ダイバーの人数と同じ数のダイビング器材がボート上にはあります。ボートがダイビングポイントに到着したら、すぐに準備ができるように自分の器材の場所を把握しておくようにしましょう。
ボートは停泊中でも揺れ続けています。ダイビングポイントによっては、走行中より停泊中の方が揺れを感じることもあります。その状況で手元を見ながら細かな作業をすると酔いやすくなりますので、事前にできる準備はしておくようにしましょう。
【関連記事】
レンタル器材とマイ器材の違いをダイビングインストラクターが解説します!
下記のような準備は予めやっておきましょう。
1.マスクのストラップの調節
ご自身のマスクであれば、毎回の調整は不要ですが、レンタルのマスクを使用する場合は、必ず事前に調整をするようにしてください。
2.フィンのストラップの調節
一般的なフィンの場合は装着時に簡単な調整だけで済みますが、中にはストラップの調整に時間がかかるタイプのフィンもありますので、確認しておくことが必要です。
3.グローブやブーツの場所
グローブやブーツなどの小物類は、よく似たものを使っている方が非常に多く、他の方の器材に紛れてしまう場合がありますので、グローブはフィンのフットポケットへ収納することをおススメします。ブーツはセッティング済みの器材の上または、横に置いておくようにしましょう。
4.ウェットスーツの着るタイミングを確認する
ウェットスーツを着用するタイミングは、ダイビングボートやダイビングショップによってルールが異なりますので、担当のインストラクターに確認しておきましょう。
サイズが小さく、圧迫感が強いダイビングスーツだと、不快感や息苦しさで酔いやすくなります。
ジャストフィットしたダイビングスーツを着用することが1番の予防策になります。
船酔いしてしまったときの対処方法とは?
しっかり予防しても船酔いする可能性はゼロではありません。
万が一、船酔いをしてしまったら下記の手順を思い出してください。
1.風通しの良い換気された場所に移動する
今いるところよりも風通しの良い場所に移動するようにしましょう。気持ち悪いからといって、トイレやキャビンの中にこもるのは絶対に避けましょう。余計に気持ち悪くなる原因になります。
2.水分補給をする
水やお茶、清涼飲料水などを摂取するようにしましょう。また、ペパーミントティー、ジンジャーティー、ハーブティーなどもオススメです。ペパーミントティーは胃の不快感を軽減する効果、しょうがは吐き気を抑える効果があるとされています。
3.ダイビングスーツなど圧迫する衣類は脱ぐ
ウエットスーツやドライスーツなどを着用している場合には、ファスナーを空ける、スーツを完全に脱ぐなどして楽な状態を作りましょう。
酔ってしまったら必ずダイビングインストラクターに伝えましょう。様々な対処方法を教えてくれるはずです。まずは風通しの良い場所に移動し、船の進行方向に頭を向けて、横になった姿勢で深呼吸をしましょう。水分補給や氷を口に含むのも良いと言われています。
目指せ!船酔いしない体づくり
実は、船酔いに強くなるためにできることがあるのです。船酔いを克服するためには、内耳にある「三半規管」を鍛えることが良いと言われています。
体操選手やフィギュアスケーターが、目を回さずに競技を続けられているのは、三半規管を鍛えているからなのです。一般人である私達でも普段からできそうなトレーニングがありますので、いくつか紹介していきます!
1.後ろ向きの状態で歩く
壁やものにつかまらずに後ろ向きで歩くトレーニングをオススメします。
2.目をつぶった状態で歩く
目をつぶった状態で、その場から動かないよう意識しながら足踏みをします。それができるようになったら、次は目をつぶった状態でゆっくり前進してみましょう。障害物にぶつからないように手を前に伸ばした状態で行ってください。
3.ブランコに乗る
ご自宅の近くにある公園で構いませんので、童心に帰った気持ちでブランコに乗ってみてください。久しぶりのブランコは予想以上に酔ってしまうかもしれません。乗り物酔いに慣れる訓練にもなるでしょう。慣れたら目を閉じてやってみましょう。
4.でんぐり返しをする
上下逆さまになる状態を繰り返し行うことで、脳がその状態を記憶し、三半規管を鍛えることができます。周りをよく確認して、十分に気を付けてやりましょう。できればサポート役と一緒にやることをお勧めします!また、毎日少しずつで構いませんので、継続してトレーニングをしましょう。
船酔いだけに限らず、乗り物酔いは、その日の体調によって変化しますし、頻繁にダイビングボートに乗っているインストラクターが全員、絶対に船酔いしないのかと聞かれたら、インストラクターでも船酔いする人はいます。実はこっそりケアをしている人が多いのです。
インストラクターはダイビングボートに乗る機会も多いので、慣れてきているのも関係しているんでしょうね!
マレアでは、前日のお客様へのご連絡で海況が良くない時や船酔いが心配な方に対して、事前に予防策のご案内をしております。当日船酔いになった場合は絶対に無理をせず、まずは我々ダイビングインストラクターを頼ってみて下さい。
自社プールで何度でもスキル練習できるから安心!ダイビングスクールマレアのお得なキャンペーン情報の詳細はこちら
その日のダイビングが「楽しかった!」と言っていただけるように、私たちも最善を尽くしています。しっかりケアをして素晴らしい水中世界を思う存分楽しみましょう!
ダイビングスクール マレア沖縄那覇店
PADIマスター・スクーバ・ダイバー・トレーナー
久保 諒季 (RYOKI KUBO)