冬のダイビングも快適!寒さ対策徹底ガイド
更新日:2024.03.19.Tue   投稿日:2024.03.19.Tue目次
冬のダイビングは、気温や水温が寒いことで楽しめない人も多いでしょう。体の冷えを放置すれば、エアの消費が早まり、ダイビングを満喫することができないだけでなく、低体温症(ハイポサーミア)や減圧症の発症リスクも高まると言われています。
しかし、適切な寒さ対策や防寒グッズを積極的に取り入れれば、快適で楽しい時間を過ごすことができます。ダイビングの前、中、後で実践できる対策やおすすめの防寒グッズを知っておけば、寒さを恐れる必要はありません。冬のダイビングを最大限に楽しむための方法を解説します。
冬のダイビングで知っておくべき寒さ対策の基本
皆さんは冬の沖縄でダイビングをしたことはありますか?沖縄でも真冬だと水温は22度くらいまで下がるため、意外にも寒い思いをしたことのある方も多いのではないのでしょうか。
水温が24-25度くらいに下がると、5mmウエットスーツ1枚だと寒いな…と感じることが多いです。
でも、陸上では24度で寒いと感じることはないですよね?なぜ同じ温度でも水中では寒く感じるのか、ここではその理由と寒さ対策の基本を説明します。
寒さの原因と対策
実は、水中は陸上に比べて熱伝導率が高く、20倍も早く熱が奪われるのです。そのため体温が水に奪われやすくなり、寒く感じてしまいます。
寒さ対策の基本は、主に2つです。
- 水温に合ったスーツやアイテムの着用
- ダイビングとダイビングの間で体温回復をする
これらについては後ほど詳しくご説明します。
ダイバーにおすすめの保温素材と機能
ウエットスーツは一般的に「クロロプレン(ネオプレン)」と呼ばれるゴムの生地で作られています。体温維持を目的として沢山の空気の気泡が入っており、クッション性もあります。
水は空気よりも20倍の速さで熱を奪うため、ウエットスーツはもちろん、フードやグローブなどもしっかりと体温維持ができる素材を選ぶことで寒い時期でも快適にダイビングができるようになります。
スキン生地
水切れがよいため身体の冷えを抑え体力の低下を防ぐことができる生地。World Diveではスキン素材の中でも破れや裂けに強い素材「メッシュスキン」や、伸縮性に優れた「フラットスキン」さらに膝裏などの関節部分に「フレキシブルスキン」など複数の素材を使うことで保温性と耐久性を両立しています。
起毛生地
裏生地に使われる素材で、毛足の長い糸がスーツ内の水を動かないように留まらせて保温効果をキープします。World Diveの「マルチエラステックス」は、水の渇きを速める超撥水加工と高気密繊維 を起毛加工して、高い保温力とスエードのやさしい肌触りを実現した裏素材です
ダイビングの三大防寒アイテム
ここではダイビングの際に必要となるダイビングの三大防寒アイテムをご紹介します。
- ドライスーツ
- フードやグローブなどのアイテム
- インナー
ドライスーツ
伊豆半島や紀伊半島などでは、寒さを感じずにウエットスーツで潜れる時期は思いのほか短いです。
5mmウエットスーツで寒いな、と思った場合には、スーツの厚さを6.5mmに変える、ドライスーツを着用するなどスーツの種類を変えることで対応をします。
寒さの感じ方は人それぞれのため一概には言えませんが、20度を境にウエットスーツとドライスーツを切り替えるダイバーが多いようです。夏服・冬服があるのと同じように、ダイビングスーツも季節によって使い分けましょう。
ドライスーツは素材自体に保温性があるクロロプレン(ネオプレン)製が主流ですが、最近では中に着るインナーの量を調節することによって幅広い水温に対応できる、シェル(ファブリック)タイプのドライスーツも注目されています。自分の目的とするダイビングの楽しみ方やドライスーツを着る時期などによって選ぶと良いでしょう。
ただし、ドライスーツを安全に使うには知識とコツが必要です。
スーツ内部に空気が入りすぎてしまった時の素早い対応方法など、いざというときにきちんと対処できるようにしっかり準備してから使用しましょう。
フード・グローブ
5mmスーツ1枚だと寒いな…と感じたら、フードやグローブなどのアイテムで寒さ対策を行います。
陸で冬場にヒートテックを着たり手袋をしたりするのと同じです。
フード
なんと、ダイビングでの体温の70%は頭部から逃げていくと言われています。
頭を覆い熱を逃げにくくするフードはとても効果的です。
耳を塞ぐため耳抜きがしにくく、音も聞こえにくくなりますが、それ以上にメリットが大きいです。
最近ではすっぽりとかぶるタイプのフード以外にも、ベースボールキャップタイプやキャスケットタイプなど音が聞こえやすくデザインがおしゃれなタイプも増えていますので、そちらを利用しても良いかもしれません。
グローブ
水中で手を保護するために必要なグローブですが、防寒対策としても大いに役立ちます。冷えやすい手を保護するためグローブをして保温することが大切です。
色々な厚さのグローブがありますので、水温の低い時期には生地の厚い冬用のグローブを選ぶなど使い分けましょう。
流氷ダイブなどでさらに水温の低い場所を潜る場合には、ミトンタイプのグローブが使われることもあります。手にぴったりとフィットしたものを選ぶようにしましょう。
インナー
ウエットスーツ・ドライスーツそれぞれに適したインナーを選ぶ必要があります。ここではそのポイントをご説明します。
ベスト(ウエットスーツインナー)
ウエットスーツの寒さ対策として最も定番な方法がベストやフードベストです。
フードに加えて首元までカバーされたベストを着用することで、首元からの水の侵入を最小限にしてくれます。
さらに、裏地が起毛のものを選べば、水中でもつぶれない「撥水起毛」がしっかりと空気の層を作り、体を保温してくれます。
上記画像の「World Dive イージーフードベスト」は、フードベストのサイドをオープン(左右選択可)にしてベルクロで調節。着脱のしやすさをプラスしました。保温効果が高く、水温が低い場合などのウエットスーツ用のインナーとして最適です。
ドライスーツインナー
ドライスーツのインナーは、ドライスーツの種類によって求められる機能が変わります。
- クロロプレン(ネオプレン)タイプ
スーツ自体に保温力があるため、薄手のインナーで潜ることができます。ただし、気温や水温によっては汗をかくことがあるため、ヒートテックなどの吸汗して発熱するタイプのインナーは寒さを感じることもあるため、注意が必要です。
吸汗性や速乾性に優れている、ポリエステルやポリプロピレンなどの素材のインナーが良いでしょう。
最も人気があるインナーは、World Dive サーマル・ボディ・スムーサーは透湿性・撥水性・保湿性・ストレッチ性に優れた繊維「ザムザ」を使用したドライスーツ用インナー。
表面からは水分をはじいて風邪を通さず、肌表面からの湿気は外に逃します。ソフトな着心地に機能性を重視したデザインで、動きやすさと快適性も両立します。
- シェル(ファブリック)タイプ
シェルタイプはスーツ自体に保温性がないため、水温の高いところでは薄手のインナーでも良いですが、水温の低い海ではしっかりとインナーを着込む必要があります。そのため、中綿素材など保温力の高い専用のインナーがおすすめです。
いずれのタイプでも各メーカーからは専用インナーが販売されています。より快適にダイビングが楽しめるよう、撥水性や保温性、ストレッチ性などを考慮して作られていますので、ぜひ利用してみましょう。
ダイビング前後の体温管理が大切!
ダイビング中は前述したようなアイテムで寒さ対策をしますが、実はダイビング前後の体温管理も大切なのです。
エントリー前に熱を逃さない方法
- 暖かい服装をする
意外と盲点なのが、エントリー前の服装です。器材セッティングやブリーフィングなどで屋外で準備・待機することも多いダイビング。さらに、海沿いは風が強いことも多く体感温度は低く感じます。陸でも暖かく風を通さない服装を選び、特に3首(首・手首・足首)を暖めるようにしましょう。 - ボートコートを着る
また、エントリーポイントまでボートで移動する時など、風が強くて凍える経験をしたこともある人は多いのではないでしょうか。
そういう時は、ボートコートを1枚羽織るだけで風を通しにくくなり、保温効果は抜群です!おすすめは以下のような素材が使われているものです。表面:メッシュスキン素材(しっかり水を弾いて風を通さず、傷がつきにくい)
裏面:ジャージ素材(肌触りが良い)また、首元までしっかりと覆えるものの方が、首回りも防寒できて保温効果が高まります。 - 水しぶきを浴びない
ボートに乗っている間には水しぶきを浴びないようにすることも大切ですね。水に濡れると体温が一気に奪われます。そうならないように、できるだけ水がかからない位置にいましょう。一般的には、船首よりも船尾の方が水しぶきがかかりにくいと言われています。ご自身が乗船するボートを確認してみてくださいね。
ダイビング後の体温回復法
- お湯を浴びる
冬場は特に、陸に上がった瞬間が一番寒いと感じる方が多いのではないでしょうか。そんな時はまずお湯を浴びて温まるのが一番です。温水シャワーやお湯を溜めた設備があれば、積極的に利用しましょう。しかし、すぐに温まりたいからと言って、極端に熱いお湯に長時間浸かったりサウナに入ることは減圧症やヒートショックのリスクが高まるので要注意です。少しずつお湯をかけるなどして温度変化に徐々に体を慣らしていきましょう。 - ドライな状態になる
温まった後は、スーツやインナーを素早く脱いでドライな状態になりましょう。タンクの交換や器材の片付けを先にしなければならない場合では、せめて頭部の水分だけでもタオルなどで拭き取り、ドライな状態にすると良いです。前途したように体温の70%は頭部から奪われていくので、髪の毛が濡れた状態で冷たい風に当たらないことが重要です。 - 休憩時間をしっかり取り、体温回復を行う
陸上で寒いと感じたまま、次のダイビングで水温の低い海に入ってもさらに体温を奪われ楽しむどころではありません。ダイビングとダイビングの間に休憩時間を取り、しっかり体温回復をすることもとっても重要ですね。
そのためにも、陸上でニットキャップや手袋、上着などを用意しておくと安心です。
また、ダイビング後にボートで移動する必要がある場合はボートコートを着て風を防ぎましょう。
冬の海でも快適にダイビングするための注意点
冬の海でダイビングする場合は、沖縄でも寒さを感じることがあります。適切な対策をとることによって快適にダイビングができるようにしましょう。
水中での体の冷えに備える
寒さを無理に我慢するのではなく、ダイビングに行く時期の水温・気温を把握し、適切なスーツやアイテム(フードやグローブなど)を準備するようにします。
初めての場所でのダイビングの場合には、利用するショップに水温をはじめ、スーツの種類や持っていくべきアイテムを確認することがおすすめです。
ツアーやショップでの対応を確認
エントリー方法(ビーチorボート)や、参加するツアーやショップ、利用するボートによっても必要な寒さ対策は変わってきます。
ダイビングエリアに温水シャワーやお湯を溜めた設備があるかどうか、ボートに乗っている時間が長いか、ダイビングの間の休息時間がどのくらいかなど、参加するダイビングの状況を事前に確認するようにすることがベストです。
また、ショップによってはドライスーツ、フードベストやボートコートのレンタルができるところもあります。事前に確認しておくことで、より快適にダイビングを楽しむことができるでしょう。
人気ダイビングエリア別の寒さ対策
日本の冬の海は透明度が上がることが多く、生物を観察するにも実は絶好の季節。しかし魅力的な一方で、水温・気温が下がり寒い思いをしたこともあると思います。
ここでは人気ダイビング別の寒さ対策をご紹介します。
沖縄や日本各地のシーズン毎の対策
- 沖縄
夏場に比べて混雑がなくのんびり過ごすことができ、本州に比べると暖かい沖縄ですが、冬になるとそれなりに気温・水温ともに下がります。1月上旬〜3月下旬までは水温が21度前後となり、5mmnウエットスーツだけでは寒く感じることが多いです。フードベストやグローブなどのアイテムで調整できるようにしましょう。6.5mmのウエットスーツやドライスーツがあるならばそちらを使ったほうが良いかもしれません。 - 本州
水温が20度を上回るのは、
・伊豆半島:7月〜11月上旬ごろ
・紀伊半島:5月中旬〜12月ごろ
と言われています。水温だけを見ればこれらの期間はウエットスーツでダイビングできるでしょう。
ただし、11−12月は北風が吹きやすくエキジット後に寒く感じることもあります。すぐにお湯の溜まったお風呂に入れたり、着替えができる環境で無いと難しいかもしれません。
また、ボートダイビングに行く場合の長時間の移動も辛い可能性もあります。
自分の寒さへの耐性やその日のコンディションをしっかり検討し、無理をすることのないように準備しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。冬のダイビングは寒さがつきものですが、適切な対策を取ることで快適さが大幅に向上します。まずは水温に合ったスーツを着用すること。
一般的は水温が20度を下回るとウエットスーツからドライスーツに切り替えるダイバーが多いと言われています。
また、今回ご紹介したようなフードベストやグローブなどを活用し、水中での冷えに備えることが必要です。さらに、陸上で体を冷やさないようにボートコートや防寒着の準備もしておくことで、ダイビングの休憩時間にしっかり体温回復ができるようにしましょう。
透明度も良くなり生き物を観察するには絶好の季節である冬。寒い思いをしないように事前の準備をしっかり行い、寒さ対策を万全にして冬のダイビングを楽しみましょう!