マンタを見たい!ダイビングでマンタがみられる場所を紹介
更新日:2023.12.07.Thu   投稿日:2023.12.01.Fri目次
海の中を羽ばたくように優雅に泳ぐマンタ。マンタは、ダイバーにとって一度は見てみたい憧れの生き物の一つと言っても良いのではないでしょうか。マンタは世界最大のエイで、人間の乱獲や混獲による被害で絶滅の危険性が高い生き物です。エイ科の魚はサメの仲間ですが、無害で知能が高いことで知られています。
ここではマンタの生態のポイントを紹介したうえで、日本国内外でマンタを見られる場所を紹介していきます。
マンタとはどんな生き物?
マンタとエイの違い
マンタは世界最大のエイの仲間です。マンタもエイも大きな胸ビレを持ち、外見上は似ているように見えます。しかし、実際には異なる科に属し、多くの点で違いがあるのです。
エイは海底を這うように生きている底生性の生き物で、甲殻類や貝を捕食しています。それに対して、マンタは表層や中層を泳ぎ回る回遊性の生物で、主にプランクトンを食べています。その生態の違いが、以下のような体のつくりの違いにも繋がっています。
また、マンタには「頭鰭(とうき)」と呼ばれるイトマキエイの仲間特有の器官が頭部にあります。リラックスするとダラーっと垂れ下がったり、危険を感じてスピードを上げて泳ぐ時には棒状に巻き上がることもあります。マンタに遭遇した時には、ぜひ頭鰭に注目してみてください!マンタの頭鰭の状態で心理状態がわかるかも?!
実はマンタには2種類いる
マンタは2009年まで1種類のみといわれていましたが、現在は「オニイトマキエイ」と「ナンヨウマンタ」の2種類いることがわかっています。 その違いは、主に大きさ、模様、生息地の3つです。
大きさ
オニイトマキエイは「ジャイアントマンタ」とも呼ばれ、成長すると全長6mを超えます。一方ナンヨウマンタは最大でも5m程度とオニイトマキエイよりは小さなサイズです。
模様
模様で見分けるには、以下の3つのポイントに着目します。
- 背中の模様がT字か八の字か
オニイトマキエイは、背中の白い斑紋の縁が口と平行のT字になっています。一方ナンヨウマンタは、八の字のようにカーブしています。
- 口の周り
オニイトマキエイは口の周りに黒い部分が多く、ナンヨウマンタは白もしくは薄い灰色をしています。
- 腹部の模様
オニイトマキエイは第5鰓孔に接して黒い波紋がありますが、ナンヨウマンタには無い、もしくは小さな斑点のみがあります。
生息地
どちらも熱帯及び亜熱帯地域全体に広く生息していますが、オニイトマキエイはサンゴ礁から離れた外洋に生息しています。一方、ナンヨウマンタは沿岸性です。
このように大きさや模様など見た目で判断できることが多いので、マンタに遭遇した際にはどちらの種類なのか見分けてみましょう!またオニイトマキエイの中には、体全体が黒い「ジャイアントブラックマンタ」も存在します。
日本でも、後述する石垣島や久米島などで観測されており、この珍しいジャイアントブラックマンタに日本国内の海で遭遇することは夢ではありません!
マンタの「顔」はどこにある?
読者の方の中にはマンタに何度も出会っている、という方もいるかもしれません。でも、一度出会ったマンタにもう一度会うことができたら、こんなに嬉しいことはありませんよね。
ところで、皆さんはマンタの個体識別方法をご存知でしょうか?水底から見上げることの多いダイバーにとって一番観察するのに便利でわかりやすいのが「腹部」の模様です。一般にマンタの腹部は白いです。しかし、完全に真っ白という個体はまれで、たいてい黒い斑紋が入っています。
この斑紋の入り方が人間の「指紋」のように個体によって異なり、同じものはまずいません。次に出会った時には、ぜひマンタの腹部の模様を覚えて個体識別をしてみましょう!
国内でマンタが見られる場所
マンタは暖かい地域に存在する生き物のため、日本ではごく一部の地域でしか見ることができません。日本でマンタを見ることができるダイビングスポットは、大きく3つあります。
マンタには、体に付いた寄生虫などをベラなどの小魚に食べてもらい体をお掃除してもらう習性があります。そのため、お掃除をしてもらいに訪れる「クリーニングステーション」がマンタに遭遇しやすいポイントになるのです。
石垣島
マンタポイントといえば石垣島の川平石崎マンタスクランブル(かびらいしざき)が有名ですが、他にもマンタシティポイントやヨナラ水道なども人気があります。
通常は、サンゴの根の上でホバリングしているクリーニングシーンを見ることが普通ですが、ヨナラ水道では「真っ白な砂地」にマンタがいることがあります!これがヨナラ水道でマンタを見る上での最大の魅力になっています。さらに、マンタが求愛しながら一列になって泳ぐ「マンタトレイン」や、複数のマンタがぐるぐると根の周りを回る「乱舞」にも出会えるかも!
- 川平石崎マンタスクランブル(4-11月)
水深:5-15m
流れ:時にあり
ダイビングスキル:初心者からOK
石垣港から:ボートで約50分
- マンタシティポイント(4-11月)
水深:5-15m
流れ:時にあり
ダイビングスキル:初心者からOK
石垣港から:ボートで約50分
- ヨナラ水道(通年だが大潮の時のみ ※別途禁漁期間あり)
水深:25-30m
流れ:強い・ドリフトポイント
ダイビングスキル:中級〜上級レベル
石垣港から:ボートで約30分
慶良間諸島
慶良間諸島の下曽根(しもぞね)は慶良間随一の大物ポイントで、大型のイソマグロをはじめ、マンタやジンベエザメなどにも遭遇する可能性があります。流れが強くドリフト経験は必須ですが、運が良ければ「ジャイアントブラックマンタ」にも会えちゃうかも?!
- 下曽根(9-11月)
水深:最大40m
流れ:強い・ドリフトポイント
ダイビングスキル:中級〜上級レベル
那覇から:ボートで約90分
久米島
久米島マンタステーションは港から10分と近く、通年マンタの目撃情報があるマンタスポットです。根まで浅いので初心者でも安心して潜ることができます。久米島でも「ジャイアントブラックマンタ」に遭遇できる可能性があります!
- 久米島マンタステーション(通年)
水深:7-18m
流れ:多少あり
ダイビングスキル:初心者からOK
泊港から:ボートで約10分
海外でマンタが見られる場所
ダイバーが憧れる海外のダイビングポイントでも、マンタに出会えるスポットはたくさんあります。ここではその一部をご紹介します。
タイ シミラン諸島(11-4月)
日本からの距離:成田空港から経由便で約9時間+プーケット国際空港から約2時間。ベストシーズンは日本の冬!シミランの有名ポイントである「リチェリューロック」では高確率でマンタが出現します。ダイブクルーズへ参加するか、近隣のリゾート地「カオラック」に滞在してのダイビングとなります。
パラオ(通年)
日本からの距離:成田空港から直行便で約4時間半、経由便で約10時間。パラオにはジャーマンチャネル、ユーカクなど多数のマンタ出現ポイントがあります。時には数百枚にもなる群れで登場することもあり、川のように流れるマンタ・リバーを見ることができるかも。
インドネシア バリ島(通年)
日本からの距離:成田空港から直行便で約7時間半。バリ島近辺の「ヌサペニダ海域」は、通年を通して浅い水深でマンタに出会えるポイントとして有名です。浅い水深の棚上を時には10枚以上ものマンタが乱舞する姿が度々確認されており、ダイバーの手の届くような近くをマンタが泳ぐこともしばしば。
インドネシア コモド諸島(4-10月)
日本からの距離:成田空港からバリ島経由で約9時間。「コモドドラゴン」で有名なコモド諸島。まだまだ未開の地であるコモド諸島には。栄養豊富な海域に育まれた巨大なマンタが出現します。マンタをはじめ、ナポレオンフィッシュやロウニンアジなど大物を堪能できます。
ニューカレドニア(通年)
日本からの距離:成田空港から直行便で約8時間半。ブラックマンタの出現率が高いニューカレドニア!4-9月ごろがマンタとの遭遇率が高い時期と言われています。
モルディブ(通年)
日本からの距離:成田空港から経由便で約12時間半。高い確率でジンベエザメとマンタのゴールデンコンビを見ることができるモルディブ。雨季と乾季で出現エリアが異なりますので、ダイブクルーズに乗船した方が確率が上がります。
メキシコ ラパス(6-10月)
日本からの距離:成田空港から経由便で約15時間。マンタはもちろん、アシカやシャチまで巨大生物の楽園であるラパス。マンタ以外にも、モブラと呼ばれるエイの群れにも出会える可能性があります!
ガラパゴス諸島(通年)
日本からの距離:成田空港から経由便で約30時間。ダイバーなら一度は訪れたい世界遺産の海、ガラパゴス。マンタはデイトリップでも十分見ることができますが、ダイブクルーズに乗船すれば最高峰のポイント「ダーウィン・ウルフ」を目指すことができます。ハンマーヘッドシャークの群れやガラパゴスシャークとの遭遇も期待!
マダガスカル(8-12月)
日本からの距離:成田空港から経由便で約30時間。アフリカ東海岸のインド洋に浮かぶマダガスカル。マダガスカルが世界に誇る自慢の海「ノシベ」は、マンタやジンベエザメ、ザトウクジラなど大物との遭遇率が高く、魚影の濃さは圧倒的で魅惑の水中世界が広がっています。
まとめ
ダイバーが一度は見てみたいと憧れるマンタ。その優雅な姿は国内でも国外でも見ることができます。
ホバリングや捕食などのさまざまな生態行動を見せてくれるマンタですが、ヨナラ水道などで見られる「乱舞」は見ているダイバーを最も熱くさせてくれる行動でしょう!多い時には10匹以上のマンタが乱舞を繰り広げてくれる、そんな大迫力のシーンを見に、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。