潜降が苦手な方必見!ダイビングインストラクターがコツを伝授いたします。
更新日:2023.04.12.Wed   投稿日:2021.06.20.Sun目次
潜降は、なぜ不安になるのか?
潜降が不安になる主な原因は「緊張とストレス」です。
緊張とストレスは下記が要因で起こると考えられます。
初めてのダイビング
初めてのダイビング経験といえば、「体験ダイビング」もしくは、「初心者ライセンス講習」の時ではないでしょうか。ダイビングに限らず、何をするにも初めての場合は緊張が付きもの!
少しでも緊張とストレスを緩和させるためには、インストラクターが行う説明をしっかり聞くようにし、少しでも分からない事や不安がある場合には遠慮せず、質問して解決に努めましょう。説明内容を理解できるかどうかで、緊張とストレスの度合は大きく変わってくるのです。
久しぶりにダイビングを行う場合
ダイビングライセンスを持っている方でも、久しぶりのダイビングでは、やはり緊張し、ストレスも高まります。緊張やストレスを最小限にするためには、間隔を空けずにダイビングツアーに参加することが望ましいのです。目安としては、最低2カ月に1回(1日)はダイビングツアーに参加したいですね。また、どうしても間隔が空いてしまった場合には、海でダイビングを行う前に、プールなどの穏やかな環境を利用し、リフレッシュダイビングを行うことで、不安やストレスを軽減することができるでしょう。
実はライセンスを発行する指導団体及び、各ダイビングショップでは、半年(6カ月)以上、ダイビング活動から遠ざかってしまった場合には、リフレッシュダイビングへの参加が推奨されているのです。
不安がある状態でのダイビングでは、楽しみも半減しますし、何より、安全が欠如してしまいますので、久しぶりのダイビングで不安がある場合には、遠慮せず、インストラクターに相談してみてください。
初めてのダイビングスポットで潜る場合
過去に潜ったことがあるダイビングスポットの場合は、過去の記憶を辿り、水中のイメージをすることが出来ますが、初めて潜るダイビングスポットの場合はイメージをすることが出来かねます。もちろん、初めて潜るダイビングスポットの場合は楽しみな部分も多く、興奮と期待も大きいでしょうが、それと同じぐらい不安も付いてくるでしょう。
潜るダイビングスポットが決まっている場合には、インターネットなどを活用して、事前に情報収集をして水中のイメージをすることで不安は軽減されるでしょう。
不慣れなダイビングスタイルに挑戦するとき
ビーチダイビングやボートダイビング、ドリフトダイビングやディープダイビング、ダイビングには様々なスタイルが存在します。
初めて挑戦するダイビングスタイルではもちろん、以前に行ったことがあるダイビングスタイルの場合では、その当時の記憶がよみがえり、「上手くいかなかったこと」や「怖かったこと」などがフラッシュバッグし、不安に陥ってしまう場合があります。
新しい or 不慣れなダイビングスタイルに挑戦する際には、SP(スペシャルティ)講習に参加し、インストラクターから知識や技術を学ぶようにすることで、不安は一気に解消されるでしょう。
インストラクターに「○○なダイビングスタイルが苦手なんです。」や「●●なダイビングスタイルに挑戦してみたいのです。」などと相談してみてください。
それらに相応しいSP(スペシャルティ)講習のご提案をしてくれるでしょう。
潜降をスムーズに行う為に、潜降前の準備と注意点は?
「潜降がスムーズに出来ない…」「上手く水中に潜って行けない。」という場合は、ストレスや緊張から、潜降前に「呼吸が整っていない」場合が多いのです。
呼吸が整っていないと、吸い気味の呼吸になって肺が膨らんでいる状態が長く続き、浮力が邪魔をし、潜降がしにくい状態になります。
潜降前には「大きく吸って、大きく吐く(深呼吸)」を4~5回繰り返すことで、呼吸が落ち着き、潜降がしやすくなるのです。
また、インストラクターやバディのペースに合わせて、潜降する必要はなく、自分のペースで潜降するようにしましょう。
潜降を安全に行うための必要なステップは?
潜降を安全に行う為には、下記の「手順」に添って、行うようにしましょう。
1.バディやインストラクターなど、一緒にダイビングを行うグループの方達と顔を見合わせて、潜降の合図を出します。
エントリーして潜降ポイントに到着したら、BCD(Buoyancy Control Device(ボイヤンシー・コントロール・デバイス))に空気を十分に入れて、しっかりと浮力の確保を行います。
力を抜いて、大きく深呼吸を4~5回行うようにしましょう。
バディやインストラクターが「潜降しましょう!」と合図や声を出しても、呼吸が落ち着いていないようでしたら、合意する必要はなく、「ちょっと待ってください。」と伝えるようにしてください。一緒にダイビングをするメンバー全員、呼吸が落ち着き、潜降準備が整ったら、「潜降」の合図(親指を下に向けるサイン)を行います。
2.呼吸源をスノーケルからレギュレーターに切り替える
呼吸が落ち着いたら、スノーケルからレギュレーターに切り替えましましょう。
実は初心者に限らず、潜降を急ぐがあまり、誤ってスノーケルのまま潜降をしてしまう方がいらっしゃいます。スノーケルのまま、誤って潜降をしてしまった場合、少し(1mほど)潜降した段階で、そのことに気づき、慌てて水面に浮上することになります。
場合によっては、海水の飲み、噎せてしまうこともあります。
潜降は急ぐ必要も、慌てる必要もありませんので、しっかり呼吸源を確保してから始めるようにしてください。
3.BCD、ドライスーツ内の空気を全て抜く
ドライスーツを着用している方は、まずドライスーツ内の空気をすべて抜きましょう。
ドライスーツ内の空気を上手く抜くコツは肩口に付いているバルブを最も高い位置にして、排気ボタンを押します。また、それと同時に自分の手(腕)で自分の身体を抱くようにドライスーツを圧縮します。
次にBCDの空気を抜きます。排気方法は様々ありますが、一般的な方法としては、右肩を少し下げ(右肩を左肩よりも低い位置に)、BCDの左肩に付いているインフレーターホースを高く上げた状態で排気ボタンを押します。
この姿勢で行えば、上手く排気ができるでしょう。
4.少しずつ息を吐きます。
ダイビングは基本的に適正ウエイトで行います。
適性ウエイトでダイビングをしている場合、ドライスーツやBCDの空気を抜いただけでは自然に潜降は開始されません。
潜降を開始するには、肺の中の空気を吐き出す必要があります。
吐く方法は一気に強く「フッ!」と吐くのではなく、細く長く、息を「フ―――――」と吐くと良いでしょう。そうすることで、徐々に潜降が開始されます。
5.潜降用ロープを使用する
多くのダイビングポイントでは潜降用にロープが準備されていますので、経験が浅いうちは、潜降用ロープを使って潜降を行うようにしましょう。
また、潜降用ロープがないダイビングポイントで潜る場合は、何か視標になるものを見つけて、バディやインストラクターと同じ深度を保つようにして、潜降すると良いでしょう。
上記、5つの手順でご説明をしましたが、特に大切なのは、潜降前に呼吸を落ち着かせることです。他人のペースで潜降を開始するのではなく、自分にペースで潜降を開始するようにしてください。
潜降が苦手な理由は、耳抜きが苦手だからという方がとても多いのです。
潜降中の不安要素として、最も多いのが、「圧平衡」についてです。
「圧平衡」をする方法として、ダイバーは主に「耳抜き」を行います。
ここでは、圧平衡(耳抜き)をする理由などは控えさせていただき、耳抜きが苦手だと思われている方に少しでも、苦手意識をなくしていただく事を目的にご説明させていただきます。
一般的な耳抜きの方法には3つあります。
1.鼻をつまんで、軽く鼻をかむように鼻息を吐く
この方法で耳抜きをしている方が特に多いにではないでしょうか?
マスク越しに鼻をつまみ(鼻の穴を完全にふさぐ)、優しく2~3秒かけて鼻息を吐くようにします。やってしまいがちなミスとして、強く鼻息を吐き出す方がおりますが、それをしてしまうと鼻と耳を繋ぐ耳管を傷付けてしまう恐れがありますのでご注意ください。
あくまで優しく鼻息を吐くようにしてください。
2.唾を飲み込む
ダイバーの中には鼻をつままないでも、耳抜きが出来る方がいらっしゃいます。
そのような方は大抵、この方法で耳抜きを行っています。
通常の生活で唾を飲むことは決して難しいことではありませんが、ダイビング中は口にレギュレーターをくわえていますので、唾を飲むのが難しいと感じる方もいるようです。
3.顎を左右に動かす
顎を左右に動かすことで、顎の付け根をマッサージしているのと同じような効果が生まれ、耳管を柔らかくし、空気の流れる道を広げる効果があると言われています。
上記で3つの耳抜き方法をお伝えしましたが、どれが自分に合っているかは、個人差がありますので、まずは全てを試して、ベストな方法で耳抜きを実施するようにしてください。
また、いつもは1の方法で行っているけど、耳が抜けにくい場合は2や3を試してみるのも良いと思います。また、風邪気味だったり、寝不足、前日にお酒を多く飲んだ場合には耳抜きがしにくくなる場合もありますので、ダイビング当日は体調を万全にすることが何よりも重要です。
ここからは耳抜きの仕方、耳抜きが出来なかった場合の対処法をお伝えします。
(耳抜きの仕方)
潜降し始めてから30cm~50cm深くなるごとに、耳抜きを行いましょう。
今日はいつもより、耳抜きがしにくいと感じる場合には、この間隔を更に短くすることで、耳抜きはしやすくなります。
基本的に耳に違和感や痛みがなければ、耳抜きは上手くできていると思ってください。
また、“キュー”という音や“プスッ”という音が鳴れば問題なく耳抜きは出来ています。
(耳抜きが出来ない場合の対処法)
上記の方法で耳抜きがしにくい方にはいくつかの対処法があります。
- 今いる深度から10cm~20cmほどを浅くして再度、耳抜きを行う
- 抜けない方の耳を上(水面側)に向けて耳抜きを行う
- 耳の裏側の窪みを指で優しくマッサージする
耳が抜けやすい、抜けにくいはダイビング経験と比例しません。
「自分は他の方よりも耳が抜けにくい」と自覚することが重要です。
そのような自覚がある方にオススメな裏技をお伝えいたします。
耳が抜けやすくなる裏技を2つご紹介
ダイビングを行う30分前ぐらいから潜る直前までガムを噛み続ける
ガムを噛むことで、顎を動かすし、耳管を柔らかくする効果があります。
耳管が柔らかくなることで、鼻から吐き出す空気が耳へ通りやすくなり、結果、耳抜きがしやすくなるのです。
しかし、ガムを口に入れたままダイビングを行うのは危険なので、潜る直前には吐き出すようにしてください。吐き出すのは嫌な方はソフトキャンディー(ハイチューのようなもの)でも同様の効果を得ることが出来るでしょう。噛むことに意味がありますので、飴はNGですからね!
潜降中、常に鼻をつまみっぱなしにする
一般的には、約30cm~50cm間隔で、耳に違和感や痛みが生じた際に耳抜きを行いますが、どうしても耳抜きがしにくい場合は、常の鼻をつまみっぱなしにし、耳の違和感や痛みに関係なく、常に耳抜きを行います。
しかし、この裏技はマスクスクイーズが起きてしまうリスクがあるため、時々、マスク内の空気を圧平衡する必要があります。(難しいことではありません)
潜降を楽に安全に行う為の姿勢は?
潜降する姿勢は大きく2種類あり、「フィートファースト」と「ヘッドファースト」です。
基本的には頭を上に、足を下にした「フィートファースト」で潜降することをオススメします。
そして、潜降用ロープを使用することで、水抵抗が少ない状態で潜降することができますので、エネルギーやエアの消耗を減らし、ダイビングを行うことができるでしょう。
またヘッドファーストで潜降するよりも、フィートファーストで潜降する方が耳抜きもしやすいのです。
映画「海猿」のダイビングシーンでは、「ヘッドファースト」で潜降しているシーンを見たことがある方もいるのではないかと思いますが、私達が行うダイビングはレジャーです。
「楽しく安全に!」がモットーですのでヘッドファーストで潜降する必要はありませんので、覚えておきましょう。
マレアではプール講習や海洋講習時は少人数制(最大4名1チーム)で行っておりますので、潜降テクニックを学ぶことが出来るのはもちろん、耳抜きやその他不安な事も、その場で解消し、楽しみながら、学ぶことが出来る環境をご用意しています。
そして、マレアは自社プールを完備しているので、納得いくまで練習できる環境も整っていますので、潜降テクニックはもちろん、耳抜きに対する不安もしっかり解消することが出来て、安全に快適なダイビングライフを送ることができるでしょう。
ダイビングスクール マレア横浜店
PADIコースディレクター
店長 本間 敏 (SATOSHI HOMMA)